判旨
内閣総理大臣による公職追放覚書該当者の指定行為の無効確認を求める訴えは、日本の裁判所の裁判権に属さない事項であり、不適法な訴えとして却下されるべきである。
問題の所在(論点)
内閣総理大臣が行った公職追放覚書該当者の指定行為について、その無効確認を求める訴えが、日本の裁判所の裁判権(司法権の範囲)に属するか。
規範
特定の行政処分、特に連合国最高司令官の指示に基づく公職追放等の措置については、その効力の適否を審判する権限は日本の裁判所の司法権に服さない。したがって、裁判権の欠如を理由に訴状却下または原裁判の破棄・却下を行うべきである。
重要事実
上告人は、昭和22年4月の参議院議員選挙に立候補し当選したが、同年5月に内閣総理大臣から公職追放覚書該当者として指定を受けた。上告人は、この指定の無効確認を求めて出訴したが、第一審および第二審がこれを実質的に審理したため、最高裁判所へ上告された。
あてはめ
大法廷判例によれば、公職追放覚書に基づく指定行為の無効を審判する権限は日本の裁判所に属しない。本件訴えは、裁判権が認められない事項を対象とするものであるため、実体審理を行う余地はなく、手続上直ちに訴状却下の対象とされるべきものである。
結論
本件訴状を却下する。裁判権の及ばない事項について実体的な判断を示した第一審および第二審の判決は破棄されるべきである。
実務上の射程
司法権の限界に関する基本判例である。GHQによる占領下という特殊事情に基づく判断であるが、現在では「統治行為論」や「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)の限界を論ずる際の歴史的文脈として参照される。
事件番号: 昭和40(オ)823 / 裁判年月日: 昭和44年5月2日 / 結論: 棄却
労働組合の推薦する特定候補以外の立候補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、これに違反する行動を行なつた組合員は統制違反として処分されるべき旨を決議した組合大会決議は、労働組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。(福岡高裁昭和三九年(ネ)第三二八号同四〇年四月二二日判決、高民集一…
事件番号: 昭和24(そ)4 / 裁判年月日: 昭和25年2月1日 / 結論: その他
一 昭和二二年勅令第一號の第一六條第一項第一號違反事件については、同二一年一月四日附覺書第一七項(本指令所定の一切の調査表、報告書若しくは申請書の故意の虚僞記載又は此等の中に於ける充分且安全なる發表の懈怠は降伏條件の違反として連合國最高司令官之を處罰することを得べし、更に日本帝國政府は右の如き故意の虚僞記載又は不發表に…
事件番号: 昭和23(オ)66 / 裁判年月日: 昭和23年11月13日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】公職追放該当者である弁護士が、選挙管理委員会委員長の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは、弁護士固有の事務の遂行であり、公職追放令が禁ずる公職への関与には当たらない。 第1 事案の概要:参議院議員選挙に落選した上告人が、選挙無効を求めて提訴した。被告(参議院全国選出議員選挙管理委員会委員長)の訴訟…
事件番号: 昭和24新(れ)1 / 裁判年月日: 昭和25年2月15日 / 結論: 棄却
一 上告人の住所が内閣總理大臣にとり知り得る状況にあつたにかかわらず上告人に通知しなかつたことは、追放令の假指定手續が追放に關する法令の規定する要件を完備していないことになるとの論旨第二點は判例(昭和二三年(れ)第一八六二號同二四年六月一三日大法廷判決參照)にいわゆる追放該當者として指定されたことが無効であるとの主張に…
事件番号: 昭和25(オ)200 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
昭和二三年法律第一七九号(地方自治法の一部を改正する法律)附則第二条第五項の都道府県議会の議決の取消を求める訴は不敵法である。