当選訴訟において、選挙の無効を原因として当選人の当選を争うことは許されない。
選挙無効を原因とする当選訴訟の当否
参議院議員選挙法73条,衆議院議員選挙法81条,衆議院議員選挙法83条
判旨
選挙自体の無効は選挙訴訟によってのみ争うべきであり、当選訴訟において選挙の無効を理由として当選の効力を争うことは、訴訟の性質上許されない。
問題の所在(論点)
当選訴訟(衆議院議員選挙法83条、現公職選挙法207条相当)において、選挙自体の無効(同法82条、現204条相当)を原因として当選の効力を争うことができるか。
規範
選挙訴訟において当事者適格や出訴期間に厳格な制約があるのは、選挙の効力を迅速かつ画一的に確定させる趣旨である。したがって、選挙の効力を争うには所定の選挙訴訟による必要があり、他の訴訟で争うことは許されない。当選訴訟は当該選挙が有効であることを前提として当選人の決定の効力を排除するものであるから、その訴えの原因として選挙の無効を主張することは、主張自体において矛盾し許されない。
重要事実
昭和23年2月施行の参議院議員選挙において、候補者であった上告人は、選挙管理委員会が放送局による不当な選挙放送の禁止を是正しなかったことは選挙の公正を害し無効であると主張した。上告人は、選挙自体が無効であることを唯一の理由として、被上告人の当選無効を求める当選訴訟を提起した。
あてはめ
上告人の主張は、選挙放送の制限により選挙自体が無効であり、その結果として被上告人の当選も無効であるというものである。しかし、選挙訴訟の判決により無効と宣言されるまでは選挙は有効と扱われるべきである。また、当選訴訟は「他人の当選」または「自己の落選」という決定の当否を争うものであり、前提となる選挙が有効であることを論理的前提としている。したがって、選挙の無効を当選訴訟の原因とすることは訴訟の性質に反し、失当である。
結論
当選訴訟において選挙の無効を原因として主張することはできず、本件訴えは理由がない。上告棄却。
実務上の射程
選挙訴訟(客観訴訟)における争訟形態の排他性を示す重要判例である。現行法下でも、選挙無効(公選法204条)と当選無効(207条)は峻別されており、答案作成上は、訴訟物と主張し得る違法事由の対応関係を厳格に検討する際の論拠となる。
事件番号: 昭和29(オ)153 / 裁判年月日: 昭和29年9月24日 / 結論: その他
一 公職選挙法第一七三条による候補者氏名および所属政党の掲示で、候補者一名の所属政党を誤記した違法は、特段の事由のない限り、選挙の結果に異動を及ぼす虞がある。 二 参議院議員の通常選挙と補欠選挙が合併して、行われた場合に、公職選挙法第二〇五条第二項ないし第四項によつて当選に異動を生ずる虞のない者を区分するについては、通…
事件番号: 昭和23(オ)66 / 裁判年月日: 昭和23年11月13日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】公職追放該当者である弁護士が、選挙管理委員会委員長の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは、弁護士固有の事務の遂行であり、公職追放令が禁ずる公職への関与には当たらない。 第1 事案の概要:参議院議員選挙に落選した上告人が、選挙無効を求めて提訴した。被告(参議院全国選出議員選挙管理委員会委員長)の訴訟…
事件番号: 昭和38(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和39年2月26日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法第二〇四条によつて、訴訟を提起できる選挙人は、その属する選挙区の選挙人に限られる。 二 所属選挙区以外の選挙区の選挙の効力について訴訟の提起をゆるさないと解しても、憲法第三二条に違反しない。