一 裁判所が検察官に對して、口頭辯論の期日を通知し、これに立會の機會を與えた以上、現實に検察官が口頭辯論に立會わなかつたとしてもそれがために裁判の違法を來すことはないのである。 二 本件の資格審査は、たまたま被上告人が參議院議員として立候補の機會に行われたというに過ぎないのであつて、その審査の結果にもとづいてなされた指定の効力は、他の場合すなわち現に公職にあるもの、または公職につこうとする者が審査を受ける場合とすこしも異なるところはないのである。たゞ選舉中に指定の行われた場合は、候補者を辭したものとみなすというに過ぎないのであつて候補者の立場において審査を受けたからといつて、當選決定の後においてもあるいは既に議員たる資格を得た後においても遡つて被選舉無資格者となり、その當選までも無効とする趣旨でないことは明らかである。
一 参議院議員選舉に關する訴訟の裁判と検察官立會の要否 二 公職追放覺書該當指定と當選の効力
参議院議員選舉法75條,衆議院議員選舉法85條,昭和22年勅令1號6條
判旨
当選決定後に覚書該当者の指定を受けた場合、その指定の効力は遡及せず、当該当選を無効とする理由にはならない。また、当選訴訟において検察官の立会は公益代表としての意見陳述の機会を与える趣旨であり、立会の機会が与えられた以上、不立会は裁判の違法を構成しない。
問題の所在(論点)
1. 当選決定後に公職追放(覚書該当)の指定がなされた場合、その効力は遡及して当選を無効ならしめるか。2. 検察官が口頭弁論に現実に出席しなかったことは、審理裁判の違法事由となるか。
規範
1. 参議院議員当選訴訟における検察官の立会義務は、公益の弁護者として意見陳述の機会を与える法意であり、適法に期日通知がなされ機会が与えられた以上、現実の立会は審理裁判の有効要件ではない。2. 昭和22年勅令第1号に基づく覚書該当者の指定は、指定の時以後についてのみ効力を生じ、遡及することはない。3. 当選訴訟は選挙会の当選決定の効力を争うものであるから、当選決定後に生じた遡及効のない事由に基づき当選無効を主張することはできない。
事件番号: 昭和23(オ)152 / 裁判年月日: 昭和24年3月19日 / 結論: 棄却
当選訴訟において、選挙の無効を原因として当選人の当選を争うことは許されない。
重要事実
被上告人は、昭和22年4月23日の参議院議員選挙において当選人と決定され、告示された。しかし、その後の同年5月1日、中央公職適否審査委員会により覚書該当者であるとの決定(指定)を受けた。上告人は、被上告人が候補者として審査を受け覚書該当者とされた以上、遡って候補者資格を欠き、当選は無効であると主張して当選訴訟を提起した。また、原審の口頭弁論の一部に検察官が現実には立ち会っていなかった点も手続違背として主張された。
あてはめ
1. 本件指定は5月1日になされており、当選決定(4月23日)後である。勅令の規定上、指定の効力は将来に向かって発生し、遡及効は認められない。候補者の立場で審査を受けた場合であっても、選挙中に指定されれば辞退とみなされるに留まり、当選決定後の指定によって遡って被選挙資格を喪失させ当選を無効とする趣旨とは解されない。2. 原審は検察官に対して口頭弁論期日を通知し、立会の機会を与えていた。一部の期日に検察官が立ち会わなかったとしても、機会が付与されている以上、公益代表の関与の保障として必要十分であり、手続に違法はない。
結論
本件上告を棄却する。当選決定後の覚書該当指定は当選の効力を左右せず、また検察官の不立会も裁判の違法とはならない。
実務上の射程
行政処分(資格指定等)の効力の発生時期と遡及性の有無、および選挙訴訟における検察官立会の法的性格を論じる際の基準となる。特に、事後的な資格喪失事由を当選無効の訴えの理由とすることの可否を判断する枠組みとして重要である。
事件番号: 昭和23(オ)167 / 裁判年月日: 昭和24年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧参議院議員選挙法57条の「当選人は、選挙の期日後において被選挙権を有しなくなつたときは、当選を失う」という規定は、当選決定後から議員となるまでの間に失格した場合を指し、既に議員となった者の資格に関する争訟は、憲法55条に基づき各議院の裁判権に属する。 第1 事案の概要:原告(上告人)は参議院議員…
事件番号: 昭和23(オ)66 / 裁判年月日: 昭和23年11月13日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】公職追放該当者である弁護士が、選挙管理委員会委員長の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは、弁護士固有の事務の遂行であり、公職追放令が禁ずる公職への関与には当たらない。 第1 事案の概要:参議院議員選挙に落選した上告人が、選挙無効を求めて提訴した。被告(参議院全国選出議員選挙管理委員会委員長)の訴訟…