判旨
下級裁判所の決定または命令に対して最高裁判所へ抗告ができるのは、憲法違反を理由とする場合等、訴訟法が特に定めた場合に限られる。
問題の所在(論点)
一般の民事訴訟法に基づく決定(抗告棄却決定)に対し、最高裁判所への抗告(再抗告)が認められるか。裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」の意義が問題となる。
規範
裁判所法7条2号、16条2号、24条3号の規定に照らせば、下級裁判所の決定・命令に対し最高裁判所に抗告し得るのは、訴訟法(憲法施行に伴う民事・刑事訴訟法の応急的措置法等)が特に定めた場合に限られる。すなわち、憲法上の判断の不当を理由とする場合を除き、一般の民事訴訟法又は刑事訴訟法により最高裁判所へ抗告することはできない。
重要事実
抗告人は、仮処分執行取消申立事件における申立却下決定に対し、札幌高等裁判所へ即時抗告をしたが、同裁判所から抗告棄却の決定を受けた。抗告人はこれを不服として最高裁判所に再抗告を申し立てた。なお、本件申立てにおいて、憲法上の判断の不当については特段の主張がなされていない。
あてはめ
本件は下級裁判所(高等裁判所)の決定に対する抗告であるが、民事訴訟法上の一般的な抗告手続に基づくものである。裁判所法等の規定から、最高裁判所の裁判権は特別の定めがある場合に限定される。本件抗告は、憲法上の判断の不当を理由とするものではなく、当時の応急措置法等が認める特別の抗告事由に該当しない。したがって、訴訟法において特に最高裁判所に抗告し得ることを定めた場合にあたらないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
事件番号: 昭和22(ク)7 / 裁判年月日: 昭和22年12月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、憲法判断を含む場合など、法律により特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告に限定される。したがって、憲法適合性の判断を問題としない高等裁判所の決定等に対する一般的な抗告は、最高裁判所の裁判権に含まれない。 第1 事案の概要:抗告人…
最高裁判所への不服申立てが、憲法問題等の特定の法的瑕疵がある場合に限定されるという「特別抗告」的運用の端緒を示す判例である。現在の民事訴訟法336条(許可抗告)や327条(特別上告)等の解釈において、最高裁判所の性格を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和23(ク)11 / 裁判年月日: 昭和23年5月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限り、適法に申し立てることができる。 第1 事案の概要:抗告人が、特定の訴訟手続に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件は、日本国憲法施行に伴う民事・刑事訴訟法の応急的措置法等により、特に最高裁判…
事件番号: 昭和24(ク)67 / 裁判年月日: 昭和24年10月31日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合に限り許容される。具体的には、旧民事訴訟法419条の2(現行336条)の特別抗告のように、憲法違反を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、その抗告申立書の内容から、…
事件番号: 昭和29(ク)53 / 裁判年月日: 昭和29年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、仮処分により保全すべき権利について疎明がないとした原決定を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。その際…
事件番号: 昭和25(ク)47 / 裁判年月日: 昭和25年5月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られる。民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とする理由(旧民訴法419条の2)が必要であり、単なる法令違背を理由とする抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案で…