町が県に対してミニパトカーを寄附することは、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すことに当たり、地方財政法二八条の二に違反する。
町が県に対してした寄附が地方財政法二八条の二に違反するとされた事例
地方財政法28条の2,地方財政法9条,地方自治法232条の2,地方自治法242条の2第1項4号,警察法37条1項6号,警察法施行令2条6号
判旨
地方公共団体が、法令により経費負担区分が定められている事務に関し、他の地方公共団体へ寄附を行うことは、地方財政法28条の2に違反し、当該寄附のための公金支出は違法となる。
問題の所在(論点)
地方公共団体が、法令上経費負担区分が定められている事務につき、他の地方公共団体へ寄附を行うことが、地方財政法28条の2(寄附金等の禁止)に違反し、公金支出として違法となるか。
規範
地方財政法28条の2は、地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すような寄附金等の支出を禁じている。したがって、法令の規定に基づき経費の負担区分が明確に定められている事務について、その負担区分を事実上変更させるような寄附、及びそれに伴う公金支出は同条に違反し違法となる。
重要事実
栃木県a町は、馬頭地区交通安全協会を経由して、栃木県(警察事務を所管)に対し、ミニパトカーを寄附した。この寄附に際し、a町はミニパトカーの購入及びその代金の支出を行ったが、当該支出の適法性が争点となった。
あてはめ
本件におけるミニパトカーの寄附は、法令の規定に基づき経費の負担区分が既に定められている事務に関するものである。それにもかかわらずa町が県に対して寄附を行うことは、地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すことに当たる。したがって、当該寄附のために行われたミニパトカーの購入及び購入代金の支出は、実質的に法令の負担区分を潜脱するものであり、地方財政法28条の2に違反すると評価される。
結論
a町によるミニパトカーの購入及び代金の支出は、地方財政法28条の2に違反し、違法である。
実務上の射程
地方公共団体による寄附や公費負担の適法性を検討する際、特に警察・消防などの広域事務や分担が明確な事務において、地方財政法28条の2の形式的な違反の有無を判断する基準となる。住民訴訟における公金支出の違法性確認の根拠として利用できる。
事件番号: 昭和57(行ツ)169 / 裁判年月日: 昭和59年4月24日 / 結論: 棄却
村長の職務執行行為により違法に損害を加えられたとする者が村長個人を被告として不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した場合において、村長が右訴訟事件の応訴のための弁護士費用を村の予算から支出することは、違法な公金の支出にあたる。
事件番号: 平成29(行ヒ)226 / 裁判年月日: 平成30年11月6日 / 結論: 破棄自判
1 普通地方公共団体の財産の譲渡又は貸付けが適正な対価によるものであるとして議会に提出された議案を可決する議決がされた場合であっても,当該譲渡等の対価に加えてそれが適正であるか否かを判定するために参照すべき価格が提示され,両者の間に大きなかい離があることを踏まえつつ当該譲渡等を行う必要性と妥当性について審議がされた上で…
事件番号: 平成22(行ヒ)136 / 裁判年月日: 平成24年4月23日 / 結論: 破棄差戻
1 住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の損害賠償請求権を放棄する旨の議会の議決がされた場合において,当該請求権の発生原因である公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響(その違法事由の性格や当該職員の帰責性等を含む。),当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有…