地方公共団体が、国会議員の選挙について、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に定める基準額を超える経費の支出をした場合であつても、右法律の定める経費の基準が著しく不合理であつて到底経費の全額国庫負担を定めたものとはいえない限り、右超過支出をもつて直ちに地方財政再建促進特別措置法二四条二項にいう「負担金」の支出に当たるものということはできない。 (反対意見がある。)
地方公共団体が国会議員の選挙について国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に定める基準額を超える経費を支出したことと地方財政再建促進特別措置法二四条二項にいう「負担金」支出の該当性
地方財政再建促進特別措置法24条2項,地方財政法10条の4第1号,地方財政法18条,国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律18条1項,国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律18条2項
判旨
国会議員の選挙経費を国が負担する制度の下では、法律が定める交付基準額が著しく不合理でない限り、基準額を超える地方公共団体の支出が直ちに地方財政再建促進特別措置法24条2項の「負担金」にあたることはない。
問題の所在(論点)
国会議員の選挙等の執行につき、法律上の交付基準額を超えて地方公共団体が支出した経費が、地方財政再建促進特別措置法24条2項にいう「負担金」の支出に該当し、違法となるか。
規範
国会議員の選挙経費の全額を国庫負担とする法的制度の下において、法律(国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律等)に定められた経費の基準が著しく不合理であって、到底全額を国庫負担したものといえない場合でない限り、基準額を超える地方公共団体の支出が、直ちに地方財政再建促進特別措置法24条2項にいう「負担金」の支出に当たるものということはできない。
重要事実
宇都宮市の住民である上告人が、第37回衆議院議員総選挙において、宇都宮市長が国の定める執行経費の基準額を超えて市の公金(約660万円)を支出したことは、本来国が負担すべき経費を市が負担したものであり、地方財政再建促進特別措置法24条2項に違反するとして、市を代位して損害賠償を求めた。
あてはめ
地方財政法によれば、国会議員の選挙経費は地方公共団体の負担義務がなく、国が事務執行に必要かつ十分な金額を算定して交付することとされている。これに基づき基準法が具体的な算出基準を定め、特別な事情がある場合には追加交付の仕組みも備わっている。このように全額国庫負担を具体的に保障する制度が存する場合、当該基準が著しく不合理でない限り、基準額を超える支出をしたからといって、それが直ちに地方公共団体の義務のない負担(負担金)にあたるとはいえない。本件支出について、基準が不合理であるとの事情は認められないため、同条項違反には当たらない。
結論
基準額を超える支出が直ちに違法な負担金にあたるとする上告人の主張は失当であり、本件支出は適法である。
実務上の射程
地方公共団体の支出が国や他団体との関係で「負担金」に該当し違法となるかの判断において、関連法規による保障措置の有無や、算出基準の合理性を重視する。基準法に基づく定型的な支出における「負担金」該当性の限定解釈を示すものとして、住民訴訟(4号請求)の違法性判断に活用できる。
事件番号: 平成2(行ツ)91 / 裁判年月日: 平成2年12月21日 / 結論: 棄却
普通地方公共団体の議会が、地方自治法二〇三条五項に基づき、その議員等に対する費用弁償に関する条例を制定するに当たっては、あらかじめその支給事由を定め、それに該当するときには標準的な実費である一定の額を支給することとすることも許され、この場合、いかなる事由を支給事由として定めるか、また、一定の額を幾らとするかは、右議会の…