再婚禁止期間について男女間に差異を設ける民法七三三条を改廃しない国会ないし国会議員の行為は、国家賠償法一条一項の適用上、違法の評価を受けるものではない。
再婚禁止期間について男女間に差異を設ける民法七三三条を改廃しない国会ないし国会議員の行為と国家賠償責任の有無
民法733条,国家賠償法1条1項,憲法14条1項
判旨
国会議員の立法行為は、立法内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず敢えて立法を行う等の例外的な場合を除き、国家賠償法1条1項の適用上、違法とはならない。
問題の所在(論点)
国会議員の立法不作為が、国家賠償法1条1項にいう「違法」な職務執行と認められるための要件、および内閣の法律案不提出の違法性。
規範
国会議員は原則として国民全体に対し政治的責任を負うにとどまり、個別の国民に対し法的義務を負うものではない。したがって、国会議員の立法行為(不作為を含む)が国家賠償法1条1項の適用上違法となるのは、立法内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず、国会があえて当該立法を行うというような、容易に想定し難い例外的な場合に限られる。
重要事実
上告人らは、女性にのみ6か月の再婚禁止期間を設ける民法733条(当時)が憲法14条1項に違反すると主張。同条を改廃しない国会議員の立法不作為、および法律案を提出しない内閣の不作為が国家賠償法1条1項上の違法に当たるとして、損害賠償を請求した。
あてはめ
民法733条の立法趣旨は、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐという合理的な根拠に基づく。そうである以上、憲法14条1項の一義的文言に違反しているとはいえず、国会が同条を改廃しないことは「容易に想定し難い例外的な場合」に当たらない。また、立法権を有する国会の行為が違法でない以上、法律案提出権にとどまる内閣の行為も違法とはならない。
結論
民法733条に関する国会議員の立法行為および内閣の不作為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けない。
実務上の射程
立法不作為による国家賠償請求における「原則違法性否定」の枠組みを示した重要判例である。答案上は、まずこの厳格な規範を定立した上で、本件の再婚禁止期間が「一義的な文言違反」に該当するかを検討する。後の最大判平27.12.16等により100日を超える部分は違憲とされたが、国賠法上の違法性判断基準としては本判例の枠組みが維持されている。
事件番号: 平成25(オ)1079 / 裁判年月日: 平成27年12月16日 / 結論: 棄却
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は,憲法14条1項,24条2項に違反しない。 2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた。 3 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益…