御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例(平成9年御嵩町条例第1号)が投票の資格を有する者を日本国民たる住民に限るとしたことは,憲法14条1項,21条1項に違反しない。
御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例(平成9年御嵩町条例第1号)が投票の資格を有する者を日本国民たる住民に限るとしたことと憲法14条1項,21条1項
憲法14条1項,憲法21条1項,御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例(平成9年御嵩町条例第1号)6条
判旨
地方自治体が行う住民投票において、投票権者を日本国民たる住民に限定することは、日本国民以外の住民に対する差別には当たらず、憲法14条1項および21条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
住民投票の投票権者を日本国民たる住民に限定する条例の規定が、日本国民以外の住民との関係で憲法14条1項、21条1項に違反するか。
規範
憲法15条1項の保障する参政権は日本国民を対象とするものであり、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する憲法93条2項も、日本国民である住民を指す。したがって、住民投票等の手続きにおいて投票権者を日本国民たる住民に限定することは、合理的な区別として許容される。
重要事実
御嵩町において、産業廃棄物処理施設の設置の是非を問う住民投票に関する条例(平成9年1月御嵩町条例第1号)が制定された。同条例は、投票の資格を有する者を「日本国民たる住民」に限定していたため、日本国民ではない住民らが、この制限は憲法14条1項(法の下の平等)および21条1項(表現の自由)に違反するとして争った。
あてはめ
最高裁は、定住外国人の地方参政権を否定した過去の判例(最大判昭53.10.4、最三小判平7.2.28)の趣旨を引用し、本件条例の合憲性を判断した。憲法上の参政権の保障が日本国民を対象としていることに照らせば、地域社会の重要な意思決定に関わる住民投票において、投票権を日本国民に限定することは合理的な根拠があるといえる。したがって、日本国民以外の住民を排除することは不当な差別(14条1項違反)や表現の自由の侵害(21条1項違反)には該当しない。
結論
本件条例が投票資格を日本国民たる住民に限ったことは、憲法14条1項、21条1項に違反しない。
実務上の射程
地方参政権における「住民」の意義が日本国民に限定されるという伝統的な判例理論を、事務的な住民投票の場面でも再確認したものである。答案上は、外国人の参政権が認められない根拠として、選挙権のみならず住民投票にも及ぶことを示す際に活用できる。
事件番号: 平成8(オ)1342 / 裁判年月日: 平成10年3月13日 / 結論: 棄却
国会議員の被選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法一〇条一項と憲法一五条、市民的及び政治的権利に関する国際規約二五条に違反しない。