国会議員の被選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法一〇条一項と憲法一五条、市民的及び政治的権利に関する国際規約二五条に違反しない。
国会議員の被選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法一〇条一項と憲法一五条、市民的及び政治的権利に関する国際規約二五条
公職選挙法10条1項,憲法15条,市民的及び政治的権利に関する国際規約25条
判旨
国会議員の被選挙権を日本国民に限定する公職選挙法の規定は、憲法15条および市民的及び政治的権利に関する国際規約25条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 国会議員の被選挙権を日本国民に限定する公職選挙法10条1項等の規定は、憲法15条に違反するか。 2. 当該規定は、市民的及び政治的権利に関する国際規約25条に違反するか。
規範
公務員を選定罷免する権利は国民固有の権利であり(憲法15条1項)、国政選挙における被選挙権の付与を日本国民に限定することは、主権在民の原則に基づき憲法上正当な区別として認められる。また、国際規約25条も各国における合理的制限を許容しており、国籍による区別はこれに抵触しない。
重要事実
日本国民ではない上告人らが、国会議員選挙への立候補届出をしようとした際、公職選挙法(改正前)および同法施行令に基づき、被選挙権の要件として日本国民であることを証明する戸籍謄本等の添付を求められた。上告人らは、被選挙権を日本国民に限定する規定が憲法15条および国際人権B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)25条に違反すると主張して争った。
あてはめ
憲法15条1項は「公務員を選定罷免することは、国民固有の権利である」と規定し、主権者が日本国民であることを前提としている。判決文によれば、最高裁昭和50年(行ツ)第120号大法廷判決の趣旨を引用し、国政の根幹を成す国会議員選出において日本国民に限定する運用は憲法上の正当性を有する。また、国際規約25条についても、合理的な制限の範囲内であり、人種・宗教等の不当な差別には当たらないと解される。
結論
公職選挙法10条1項等の規定は憲法15条および国際規約25条に違反しない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
国政選挙における被選挙権の「国民」限定を合憲とした重要な判例である。地方参政権(最大判平7.2.28)が法律による付与を否定していないのに対し、国政レベルでは日本国民限定が憲法の要請に近い強い論理で維持されている点に留意して論述に用いるべきである。
事件番号: 平成13(行ツ)82 / 裁判年月日: 平成17年9月14日 / 結論: その他
1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。 2 公職選挙法…