自ら救済を申し立てなかった労働者がその所属する労働組合の救済申立てに係る救済命令の取消訴訟に行政事件訴訟法22条1項に基づく参加をすることは,当該救済命令の内容が当該労働者に対する賃金相当額の支払を命じるものであるなど当該労働者個人の雇用関係上の権利にかかわるものであっても,許されない。
救済を申し立てなかった労働者がその所属する労働組合の救済申立てに係る救済命令の取消訴訟に行政事件訴訟法22条1項に基づく参加をすることの許否
行政事件訴訟法22条1項,労働組合法27条
判旨
労働組合のみが救済を申し立てた場合に、その救済命令の取消訴訟の結果によって当該組合員が受ける不利益は、反射的利益の喪失にすぎず、行政事件訴訟法22条1項の「権利を害される第三者」には当たらない。
問題の所在(論点)
労働組合のみが不当労働行為の救済を申し立てた場合に、その救済命令の取消訴訟の結果について、当該労働者が行政事件訴訟法22条1項の「訴訟の結果により権利を害される第三者」に該当するか。
規範
行政事件訴訟法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」とは、処分が取り消されることによって、自己の法律上の利益を侵害される者をいう。労働組合法上の救済命令制度は、組合と労働者それぞれに独立の救済申立権を認めており、組合の申立てに基づく救済命令が確定しても、労働者自らの申立権には法的影響を及ぼさない。したがって、組合の救済命令に基づく利益は、使用者の公法上の義務履行に伴う反射的利益にすぎず、直接の権利とは認められない。
重要事実
労働組合が、所属組合員である参加申立人の採用拒否を不当労働行為として救済を申し立て、中労委は賃金支払等を命ずる救済命令を発した。これに対し、使用者が当該命令の取消訴訟を提起した際、自ら救済申立てを行っていなかった当該組合員が、中労委命令が取り消されると職場復帰や賃金受領の権利が害されると主張して、行政事件訴訟法22条1項に基づく第三者参加を申し立てた。
事件番号: 平成12(行フ)3 / 裁判年月日: 平成13年2月22日 / 結論: 破棄差戻
労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において,事業主は,その事業が労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項各号所定の一定規模以上の事業である場合には,労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される。
あてはめ
まず、組合の救済申立てに係る命令が確定しても、労働者個人の救済申立権には法的影響はない。仮に期間徒過で申立て不能となっていても、それは自ら申立てを怠った結果にすぎない。次に、救済命令の内容が個人の雇用関係に関わる場合、労働者は使用者の公法上義務の履行により事実上の利益を受けるが、当該義務の履行を直接求める私法上の権利を有するわけではない。したがって、取消判決により救済命令が消滅しても、労働者の「法律上の利益」が害されたとはいえない。
結論
自ら救済を申し立てなかった労働者は、労働組合の救済申立てに係る救済命令の取消訴訟において「権利を害される第三者」には当たらない。
実務上の射程
行政訴訟における「第三者」の範囲を「法律上の利益」を有する者に限定する解釈を示すものである。不当労働行為救済手続の二元性(組合と個人の独立性)を前提としており、答案上は原告適格(行訴法9条)と同様の「法律上の保護された利益」の有無という枠組みで論じる際に有用である。
事件番号: 平成13(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月12日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法22条1項の規定により第三者を訴訟に参加させる決定に対して即時抗告をすることは許されない。
事件番号: 平成4(行ツ)119 / 裁判年月日: 平成7年2月23日 / 結論: 却下
高等裁判所が補助参加の許否に関する裁判を判決の形式で行った場合には、右判決に対する上告についての最高裁判所の審理の対象は、民訴法四一九条ノ二所定の抗告理由の有無の範囲に限られる。
事件番号: 平成8(行ト)12 / 裁判年月日: 平成8年2月26日 / 結論: 棄却
地方自治法一五一条の二第三項による職務執行命令訴訟については、民訴法の補助参加に関する規定を準用する余地はなく、このように解しても憲法三二条に違反するものではない。
事件番号: 平成12(行フ)3 / 裁判年月日: 平成13年2月22日
【結論(判旨の要点)】労働者災害補償保険法に基づく不支給処分の取消訴訟において、事業主はメリット制による保険料増額の可能性がある場合に限り、被告を補助するための「法律上の利害関係」(民訴法42条)を有する。 第1 事案の概要:抗告人の工場に勤務していた労働者Aの死亡に関し、Aの妻(相手方)が遺族補償給付等の不支給処分の…