労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において,事業主は,その事業が労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項各号所定の一定規模以上の事業である場合には,労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される。
労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において事業主が労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される場合
行政事件訴訟法7条,民訴法42条,労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項
判旨
労災保険給付の不支給決定取消訴訟において、使用者(事業主)は、メリット制の適用により次年度以降の保険料が増額される可能性がある場合に限り、行政事件訴訟法22条または民事訴訟法42条の補助参加が許される。
問題の所在(論点)
労災不支給処分取消訴訟において、被用者の使用者(事業主)に、行政事件訴訟法22条または民事訴訟法42条にいう「法律上の利害関係」が認められるか。
規範
行政事件訴訟における補助参加(行政事件訴訟法22条、民事訴訟法42条)が認められるためには、「訴訟の結果につき利害関係を有する」こと、すなわち、当該訴訟の判決が参加人の法的地位に直接または間接に影響を及ぼす「法律上の利害関係」が必要である。具体的には、取消判決の拘束力(行訴法33条)により新たな処分がなされ、その結果、参加人の権利義務に不利益な変動が生じる客観的な蓋然性がある場合にこれを認めるべきである。
重要事実
労働者Eの遺族である相手方が、Eの死亡を過労による業務災害として遺族補償給付等を請求したが、労働基準監督署長がこれを不支給としたため、その取消訴訟を提起した。Eの勤務先であった抗告人(会社)は、①不支給決定が取り消されれば後の安全配慮義務違反に基づく損害賠償訴訟で不利になること、②労働保険のメリット制(徴収法12条3項)により将来の保険料が増額される可能性があることを理由に、処分行政庁側に補助参加することを申し出た。
事件番号: 平成12(行フ)3 / 裁判年月日: 平成13年2月22日
【結論(判旨の要点)】労働者災害補償保険法に基づく不支給処分の取消訴訟において、事業主はメリット制による保険料増額の可能性がある場合に限り、被告を補助するための「法律上の利害関係」(民訴法42条)を有する。 第1 事案の概要:抗告人の工場に勤務していた労働者Aの死亡に関し、Aの妻(相手方)が遺族補償給付等の不支給処分の…
あてはめ
まず、民事上の賠償責任については、労災保険給付と安全配慮義務違反の要件・審判対象は別個であり、判決の理由中の判断が後訴を直ちに拘束するものではないため、法律上の利害関係を認める根拠にはならない。次に、保険料への影響については、徴収法12条3項所定の一定規模以上の事業に該当する場合、取消判決の拘束力(行訴法33条)により支給決定がなされると、保険給付額が増加し、次々年度以降の保険料率が引き上げられる不利益を直接受ける。したがって、当該メリット制の適用対象となる事業主であれば、敗訴を防ぐことについて「法律上の利害関係」を有する。本件では抗告人の工場がこの規模要件を満たすかを審理する必要がある。
結論
使用者において、労働保険のメリット制の適用を受ける一定規模以上の事業に該当する場合には、不支給決定の取消訴訟への補助参加が認められる。
実務上の射程
行政処分の取消訴訟において、第三者が反射的・事実上の利益を超える不利益を被る場合の補助参加の範囲を画した重要判例である。答案上は、安全配慮義務違反の損害賠償への影響を否定しつつ、メリット制による経済的負担の増大という法的帰結に着目して「法律上の利害関係」を認める論理構成として用いる。
事件番号: 平成12(許)17 / 裁判年月日: 平成13年1月30日 / 結論: 破棄自判
取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し提起された株主代表訴訟において,株式会社は,特段の事情がない限り,取締役を補助するため訴訟に参加することが許される。 (反対意見がある。)
事件番号: 平成13(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月12日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法22条1項の規定により第三者を訴訟に参加させる決定に対して即時抗告をすることは許されない。
事件番号: 平成14(行フ)7 / 裁判年月日: 平成15年1月24日 / 結論: その他
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの)15条1項に基づいてされた廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成9年政令第353号による改正前のもの)7条14号ハ所定の産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置許可申請に対する知事の不許可処分の取消訴訟において,当該施設の周辺に居住し,当…