取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し提起された株主代表訴訟において,株式会社は,特段の事情がない限り,取締役を補助するため訴訟に参加することが許される。 (反対意見がある。)
取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し提起された株主代表訴訟において株式会社が取締役を補助するため訴訟に参加することの許否
民訴法42条,商法267条,商法268条2項
判旨
取締役会の意思決定が違法であるとして提起された株主代表訴訟において、株式会社は、特段の事情がない限り、取締役を補助するために訴訟に参加することが許される。
問題の所在(論点)
株主代表訴訟において、株式会社が被告である取締役を補助するために補助参加することの可否。特に、会社と取締役の利害対立関係に照らし、会社が民事訴訟法42条の「法律上の利害関係」を有するか否か。
規範
民事訴訟法42条の「訴訟の結果について利害関係を有する」とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合(法律上の利害関係)をいう。取締役会の意思決定の違法を原因とする株主代表訴訟において、取締役が敗訴すれば、その意思決定を前提として形成された会社の法的地位等に影響を及ぼすおそれがあるため、会社は取締役の敗訴を防ぐことに「法律上の利害関係」を有する。したがって、特段の事情がない限り、会社による取締役側への補助参加は許容される。
重要事実
株式会社の株主である相手方が、同社の取締役らが粉飾決算を指示・看過し、法人税の過払いや配当等により会社に損害を与えたと主張して、忠実義務違反に基づく損害賠償を求める株主代表訴訟を提起した。これに対し、会社が取締役らを補助するために補助参加を申し出たところ、相手方が異議を述べた。原審は、会社と取締役は実体法上の利害が対立する関係にあるとして、参加を却下した。
事件番号: 平成12(行フ)3 / 裁判年月日: 平成13年2月22日 / 結論: 破棄差戻
労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において,事業主は,その事業が労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項各号所定の一定規模以上の事業である場合には,労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される。
あてはめ
本件訴訟の対象である粉飾決算に係る計算書類の承認は取締役会の権限(商法281条)であり、本件は取締役会の意思決定の違法を理由とする訴訟である。取締役らが敗訴した場合、会社の計算関係のみならず現在又は将来の取引関係にも影響を及ぼすおそれがある。また、補助参加の是非自体も取締役の責任に係る経営判断の一つであり、会社側からの訴訟資料提出により審理の充実が図られる利点もある。したがって、会社が取締役の敗訴を防ぐことには法律上の利害関係が認められ、補助参加を否定すべき「特段の事情」も認められない。
結論
株式会社は、特段の事情がない限り、株主代表訴訟の被告である取締役を補助するために訴訟に参加することができる。本件においても、会社による補助参加は許可されるべきである。
実務上の射程
会社側への補助参加を原則肯定したリーディングケースである。答案上は、まず「法律上の利害関係」の定義(法的地位への影響のおそれ)を述べた上で、株主代表訴訟の特殊性(会社の権利を代位行使する構造)に触れつつ、会社の意思決定の正当性を守る必要性から肯定側に結びつける。ただし、不当な訴訟遅延目的など「特段の事情」がある場合には否定される余地を残している点に留意する。
事件番号: 昭和31(ク)182 / 裁判年月日: 昭和31年7月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】行政機関は法人である自治体の内部機関にすぎず、独立した権利の主体ではないため、自治の権能の侵害を理由とする憲法違反の主張をすることはできない。 第1 事案の概要:抗告人(特定の市の機関)は、原決定が自治の本旨に基づいて当該機関が有する権能を侵し、憲法92条の趣旨に反すると主張して、最高裁判所に抗告…
事件番号: 平成13(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月12日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法22条1項の規定により第三者を訴訟に参加させる決定に対して即時抗告をすることは許されない。
事件番号: 平成18(許)12 / 裁判年月日: 平成18年9月28日 / 結論: 破棄差戻
株式会社の株主が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)294条1項に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても,その後,当該会社が新株を発行したことにより,当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものと…
事件番号: 平成8(行ト)12 / 裁判年月日: 平成8年2月26日 / 結論: 棄却
地方自治法一五一条の二第三項による職務執行命令訴訟については、民訴法の補助参加に関する規定を準用する余地はなく、このように解しても憲法三二条に違反するものではない。