一 爆発物取締罰則の合憲性 二 死刑の合憲性 三 量刑に関する違憲の主張が欠前提とされた事例 四 死刑事件
爆発則,憲法31条,憲法73条6,憲法98条1項,憲法13条,憲法36条
判旨
爆発物取締罰則の合憲性、死刑制度の残虐刑該当性、および被告人の訴訟態度等を量刑事情として考慮することの正当性を認めた。
問題の所在(論点)
爆発物取締罰則が憲法31条(明確性の原則)等に違反するか。死刑制度が憲法36条に違反するか。被告人の法廷での態度や審理遅延の原因となった訴訟活動を、量刑や未決勾留日数の算入において考慮することが憲法上の思想信条の自由等に反し許されないか。
規範
1. 爆発物取締罰則は、日本国憲法施行後も法律としての効力を有し、「治安ヲ妨ケ」等の概念も明確性の原則(憲法31条)に反しない。2. 死刑は憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。3. 量刑にあたり、被告人の法廷での態度や言動から反省の有無を推認すること、および被告人側の原因による審理遅延を未決勾留日数の算入において考慮することは、思想信条に対する報復的な量刑でない限り適法である。
重要事実
被告人らは、連続企業爆破事件等に関与し、爆発物取締罰則違反や殺人等の罪に問われた。一審および二審において被告人C・Dには死刑、被告人Aには無期懲役が言い渡された。被告人側は、爆発物取締罰則の違憲性、死刑の残虐刑該当性、および被告人の法廷での態度や出廷拒否等を量刑上の不利益として考慮した原判決の不当性を主張して上告した。
あてはめ
1. 爆発物取締罰則について、判例上その効力は維持されており、「治安ヲ妨ケ」という概念も通常の理解力を持つ者にとって不明確とはいえない。2. 死刑については、従来の判例に照らし残虐な刑罰に当たらない。3. 量刑事情について、原判決は被告人の法廷での言動から「反省の有無」を推認しており、これは正当な情状評価である。また、未決勾留日数の算入制限についても、被告人の出廷拒否や弁護人の辞任等による審理遅延が「大きく起因している」事実に基づき判断されたものであり、思想信条を理由とした報復的な評価とは認められない。
事件番号: 昭和53(あ)1760 / 裁判年月日: 昭和55年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は現行憲法施行後も法律としての効力を有し、「治安ヲ妨ケ」等の概念もあいまいで不明確とはいえず、憲法19条、31条、36条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、爆発物取締罰則違反の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が法律としての効力を欠くこと、また「治安ヲ妨ケ」等の…
結論
本件各上告を棄却する。爆発物取締罰則は合憲であり、被告人の態度等を量刑事情として考慮した原判断も適法である。
実務上の射程
死刑の合憲性や爆発物取締罰則の有効性に関する重要判例である。答案上では、被告人の「反省の欠如」を量刑上不利に考慮する際の限界(報復的であってはならない)や、審理遅延を被告人側の責任に帰すことの可否を論じる際の参照先となる。
事件番号: 昭和62(あ)196 / 裁判年月日: 平成3年2月1日 / 結論: 棄却
爆発物取締罰則一条及び三条の「人ノ身体ヲ害セントスルノ目的」があるというためには、人の身体を害するという結果の発生を未必的に認識し、認容することをもって足り、右結果の発生に対する確定的な認識又は意図は要しない。
事件番号: 平成8(あ)830 / 裁判年月日: 平成9年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は現在も法律としての効力を有し、「治安ヲ妨ケ」るという構成要件も明確性の原則に反せず、かつ定められた刑罰が残虐な刑罰に当たったり思想差別を目的としたりするものではない。 第1 事案の概要:被告人らは、爆発物取締罰則違反等の罪で起訴された。これに対し、被告人側は、同罰則が明治17年太政…
事件番号: 昭和63(あ)682 / 裁判年月日: 平成6年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極めて凶悪な無差別大量殺人事件において、その犯行態様の悪質さや結果の重大性を鑑みれば、死刑の選択は正当として是認される。 第1 事案の概要:被告人は他の者と共謀の上、無差別大量殺人を企図し、手製の時限爆弾を周到に準備した。これを北海道庁庁舎内に仕掛けて爆発させ、その結果、2名の生命を奪い、81名に…
事件番号: 昭和36(あ)1168 / 裁判年月日: 昭和37年9月18日 / 結論: 棄却
爆発物取締罰則第一条所定の犯罪行為に対し所定の如き重い法定刑を定めたとしても、それは立法政策の問題となりうるに止まり、憲法適否の問題でなく立法機関の裁量に委ねられた範囲のものであり、右法定刑も何ら憲法第三六条にいう残虐な刑罰であるということはできない。このことは昭和二三年(れ)第一〇三三号同年一二月一五日大法廷判決(集…