判旨
極めて凶悪な無差別大量殺人事件において、その犯行態様の悪質さや結果の重大性を鑑みれば、死刑の選択は正当として是認される。
問題の所在(論点)
無差別大量殺人事件(北海道庁爆破事件)において、第一審および控訴審が維持した死刑の量刑が、刑罰の均衡を失し、あるいは酷すぎるとして刑訴法411条の職権破棄事由に該当するか。
規範
死刑の選択が許容されるか否かは、犯行の性質、動機、態様、特に殺傷された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考慮し、罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の観点からも一般予防の観点からも極めてやむを得ない場合に認められる(永山判決の枠組みを踏襲)。
重要事実
被告人は他の者と共謀の上、無差別大量殺人を企図し、手製の時限爆弾を周到に準備した。これを北海道庁庁舎内に仕掛けて爆発させ、その結果、2名の生命を奪い、81名に重軽傷を負わせた。
あてはめ
本件は、周到な準備に基づく計画的な無差別大量殺人であり、犯行態様は極めて凶悪である。2名の死亡および81名の重軽傷という結果は極めて重大であり、生命を奪われた被害者数のみならず、公共の場所を標的とした社会的影響の大きさも考慮される。これらの事実から、被告人の罪責は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判断は正当であるといえる。
結論
本件死刑の科刑は是認せざるを得ず、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべきものとは認められない。
実務上の射程
死刑選択の是非が争われる事案における量刑判断の射程を示す。特に対象が不特定多数に及ぶ無差別殺傷事件において、周到な計画性や社会的インパクトが死刑選択を正当化する重要な要素となることを確認する上で参照される。
事件番号: 昭和57(あ)1761 / 裁判年月日: 昭和62年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則の合憲性、死刑制度の残虐刑該当性、および被告人の訴訟態度等を量刑事情として考慮することの正当性を認めた。 第1 事案の概要:被告人らは、連続企業爆破事件等に関与し、爆発物取締罰則違反や殺人等の罪に問われた。一審および二審において被告人C・Dには死刑、被告人Aには無期懲役が言い渡された…
事件番号: 昭和62(あ)196 / 裁判年月日: 平成3年2月1日 / 結論: 棄却
爆発物取締罰則一条及び三条の「人ノ身体ヲ害セントスルノ目的」があるというためには、人の身体を害するという結果の発生を未必的に認識し、認容することをもって足り、右結果の発生に対する確定的な認識又は意図は要しない。
事件番号: 平成16(あ)2108 / 裁判年月日: 平成21年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極めて残酷かつ非人道的な無差別大量殺人行為の刑事責任について、死刑の選択がやむを得ないとされた事例(地下鉄サリン事件等) 第1 事案の概要:被告人は、教団代表者らと共謀し、教団に対する強制捜査の目的を阻害するために、都心の中枢を狙って猛毒のサリンを散布し、一般市民12名を殺害し、多数の者に重軽傷を…
事件番号: 平成15(あ)1404 / 裁判年月日: 平成19年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文の文字化けにより正確な判旨の特定が困難であるが、文脈上、オウム真理教事件(地下鉄サリン事件等)に関し、組織的かつ計画的な大量殺人等の極めて凶悪な事案において、被告人の役割や動機を考慮しても死刑判決が正当化されることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人は教団組織の幹部として、教祖らの…
事件番号: 昭和41(あ)415 / 裁判年月日: 昭和42年2月23日 / 結論: 棄却
爆発物取締罰則第一条にいう爆発物の使用とは、一般的に治安を妨げ、または犯人以外の人の身体もしくは財産を害するおそれのある状況の下において、爆発物を爆発すべき状態に置けば足り、犯人の具体的目標とする人の身体もしくは財産を害する状況の下に置くことを要するものではない。