判決宣告調書の被告事件名欄の記載が明白な誤記と認められた事例
刑訴法48条,刑訴規則44条
判旨
公判調書中の被告事件名欄における明白な誤記は、上告理由となるような重大な違法を構成しない。
問題の所在(論点)
公判調書における被告事件名の誤記が、刑事訴訟法405条の上告理由に該当するか、あるいは憲法違反を構成するか。
規範
刑事訴訟法上の書面の記載に明白な誤記がある場合であっても、それが実質的な手続の適法性や裁判の結果に影響を及ぼさない軽微な不備であれば、適法な上告理由(同法405条)には当たらない。
重要事実
本件の被告人は刑事裁判の控訴審判決に対し上告を申し立てた。その際、弁護人は原審(控訴審)の第2回公判調書における「被告事件名」欄の記載に誤りがあることを指摘し、憲法38条3項(自白の証拠能力等)や31条(適正手続)に違反する旨を主張した。
あてはめ
最高裁判所は、原審第2回公判調書中の被告事件名欄の記載について「明白な誤記」であると認定した。しかし、当該誤記は形式的な不備に留まり、刑事手続の本質的な適正さや被告人の防御権を侵害するものとはいえない。したがって、弁護人が主張する憲法違反の点は、実質的には単なる法令違反や量刑不当の主張に過ぎないものと解される。
結論
本件誤記は上告理由にあたらず、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
公判手続の瑕疵に関する主張において、単なる形式的な記載ミス(明白な誤記)は、判決に影響を及ぼすべき法令違反や憲法違反には繋がらないことを示す。実務上は、書面の不備が権利の本質に触れるものか、単なる更正可能なミスかを区別する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)385 / 裁判年月日: 昭和27年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決における証拠の引用に単純な表示上の誤りがあるとしても、その誤りが記録に照らして明白である場合には、判決の効力に影響を及ぼすような違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人が上告した事案において、第一審判決が証拠として引用した検察事務官に対する供述調書の回数につき、本来「第二、三回」と記載すべ…