刑訴法四〇五条は憲法八一条に違反する旨の主張が「欠前提」とされた事例
憲法81条,刑訴法405条
判旨
最高裁判所は、下級裁判所の判決に憲法違反があることを上告理由とできることを前提としつつ、単なる事実誤認や法令違反の主張は適法な上告理由に当たらないと判示した。
問題の所在(論点)
原判決に憲法違反があるとする主張が、刑事訴訟法405条所定の適法な上告理由としての要件を満たしているか。
規範
刑事訴訟法405条は、原判決に憲法違反があることを上告理由として認めている。一方で、適法な上告理由として認められるためには、同条各号に掲げられた事由(憲法違反、憲法解釈の誤り、判例相反)に該当する必要があり、これらに該当しない事実誤認や単なる法令違反の主張は、刑事訴訟法414条・386条1項3号により上告棄却の対象となる。
重要事実
被告人の弁護人が、原判決には憲法81条(違憲審査制)違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容は、実質的には事実誤認や単なる法令違反を指すものであった。
あてはめ
弁護人が主張する憲法81条違反という点は、刑事訴訟法405条が憲法違反を上告理由として認めている以上、主張の前提自体を欠いている。また、その余の主張内容は実質的に事実誤認や単なる法令違反を訴えるものにすぎず、同条が限定的に規定する「憲法違反」等の適法な上告理由には該当しないと解される。
結論
本件上告は、適法な上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
最高裁に対する上告理由は刑事訴訟法405条に厳格に限定されている。実務上、憲法違反を形式的に主張しても、その実態が事実誤認や単なる法令違反であれば適法な上告理由とは評価されない。答案上は、上告受理申立て(406条)との区別や、上告理由の適格性を判断する際の基礎資料となる。
事件番号: 昭和50(あ)1594 / 裁判年月日: 昭和50年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された判例違反、憲法違反、量刑不当等の各主張について、事案の相違や実質的な主張内容の検討に基づき、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないと判断した。 第1 事案の概要:被告人側が、原判決に対し、①判例違反、②憲法37条違反、③憲法32条違反、④量刑不当、⑤事実誤認等を理由として…