原判決の認定しない事実を前提とする違憲(憲法三二条)主張として不適法とされた事例
判旨
上告理由として主張された判例違反、憲法違反、量刑不当等の各主張について、事案の相違や実質的な主張内容の検討に基づき、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないと判断した。
問題の所在(論点)
弁護人が主張する各上告趣意(判例違反、憲法違反等)が、刑事訴訟法405条の上告理由として適格性を有するか。
規範
刑事訴訟法405条各号に掲げる事由(憲法違反、判例違反)に該当しない主張や、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張は、適法な上告理由とはならない。また、判例違反を主張する場合には、引用された判例が本件と事案を同じくするものでなければならない。
重要事実
被告人側が、原判決に対し、①判例違反、②憲法37条違反、③憲法32条違反、④量刑不当、⑤事実誤認等を理由として上告を申し立てた事案である。
あてはめ
第一の判例違反については、所論引用の判例は本件と事案を異にしており適切ではない。第二の憲法37条違反は実質的に量刑不当の主張である。第三の憲法32条違反は原判決の認定しない事実を前提とするものであり、その余の点は単なる法令違反・事実誤認にすぎない。第四の量刑不当も同条の上告理由には当たらないと解される。
結論
本件上告は刑事訴訟法405条の上告理由にあたらないため、同法414条、386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
最高裁への上告申立てにおいて、憲法違反や判例違反を形式的に主張しても、その実態が事実誤認や量刑不当、あるいは前提事実を異にするものである場合には、適法な上告理由として受理されないことを示している。実務上、上告趣意書作成時の形式的・実質的要件の確認に資する。
事件番号: 昭和48(あ)1379 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない事実誤認や単なる法令違反、判例違反、量刑不当の主張は、いずれも上告を棄却すべき事由となる。また、判決に法律判断が含まれていない場合、判例違反の前提を欠くため不適法となる。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認、単なる法令違反、判例違反、および量刑不当を理…