「三八六条一項二号、三号」によつて上告を棄却するとされた事例
刑訴法386条1項2号
判旨
上告理由に当たらない事実誤認や単なる法令違反、または具体的理由を欠く憲法違反の主張に基づく上告は、刑事訴訟法に基づき不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
刑訴法405条所定の上告理由を充足するか。特に、原判決と異なる事実を前提とした憲法違反の主張や、具体的理由を欠く憲法違反の主張が適法な上告理由になるかが問題となる。
規範
1. 憲法31条、35条、38条等の憲法違反を主張する場合であっても、その前提として原判決が認定していない事実(拘束、強制、脅迫等)を主張することは、適法な上告理由とは認められない。 2. 刑訴法405条に規定される上告理由(憲法違反、判例違反)に該当しない「事実誤認」や「単なる法令違反」の主張は、不適法な上告理由である。 3. 上告申立書等において具体的理由を示さず、抽象的に憲法違反等の条項を羅列するのみでは、適法な上告理由として認められない(刑訴法414条、386条1項参照)。
重要事実
被告人側は、原判決に対して憲法31条(適正手続き)、35条(住居の不可侵)、37条(被告人の権利)、38条(黙秘権等)の違反を主張して上告した。しかし、その主張の前提として、原判決では認定されていない不当な拘束、強制、脅迫、証拠の偽造、虚偽記載といった事実が存在したことを強く主張していた。また、被告人本人が提出した上告申立書には、具体的な理由の付記がなかった。
あてはめ
1. 弁護人の主張について:拘束や脅迫等の事実は原判決に記載がなく、独自の事実を前提とする憲法違反の主張は、実質的に事実誤認の主張に帰結するため、適法な上告理由とはいえない。また、その余の点は単なる事実誤認や法令違反にすぎず、刑訴法405条の要件を満たさない。 2. 被告人本人の主張について:憲法31条等の条文を掲げるのみで、原判決のどの点がどのように憲法に違反するのかという具体的理由が示されていない。これは形式的に不適法である。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらず、または具体的理由を欠き不適法であるため、棄却される。
実務上の射程
実務上、上告審は事後審・法律審であるため、原判決の認定事実に拘束される。答案上、上告理由の適否が問われる際は、単なる「事実誤認」や「法令違反」が原則として上告理由にならないこと、および具体的理由の呈示が必要であることを指摘する際に参照される。
事件番号: 昭和48(あ)2756 / 裁判年月日: 昭和49年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】具体的な主張を含まない上告趣意や、事実誤認・単なる法令違反・量刑不当を理由とする主張は、刑法訴訟法405条の上告理由に該当せず不適法である。 第1 事案の概要:被告人本人は、原判決に刑訴法405条以下の理由があるとするのみで、具体的な主張を含まない上告申立書を提出した。また、弁護人は、事実誤認、単…