火炎びんの使用等の処罰に関する法律が憲法一三条、一四条、一九条、二一条一項、三一条に違反する旨の主張が欠前提とされた事例
憲法13条,憲法14条,憲法19条,憲法21条1項,憲法31条,火炎びん法
判旨
火炎びんの使用等の処罰に関する法律(火炎びん処罰法)は、規制対象行為の危険性に照らし立法根拠が認められ、差別的立法ではなく、構成要件も明確であるため、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反しない。
問題の所在(論点)
火炎びん処罰法1条および2条の規定が、立法根拠の欠如、法の下の平等の逸脱、または構成要件の不明確さを理由に、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反し違憲となるか。
規範
刑罰法規の合憲性判断においては、(1)立法目的の実質的根拠が認められるか、(2)差別的な規制となっていないか、(3)構成要件が曖昧不明確でなく、受刑者に告知・提示するに足りる明確性を備えているか、という観点から判断される。
重要事実
被告人らは、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反等で起訴された。これに対し、弁護人は、同法が反政府運動の鎮圧を目的とした差別的立法であること、立法根拠が薄弱であること、および構成要件が不明確であることを理由に、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
まず、火炎びんの使用等の行為は、その性質上極めて危険であり、公共の安全を脅かすものである。この危険性に照らせば、同法の立法の実質的根拠が薄弱であるとはいえない。次に、同法の法文自体を検討しても、特定の政治的思想や運動を狙い撃ちにした差別的立法であるとは認められない。さらに、同法1条(製造・所持)および2条(使用)の構成要件は、その用語や対象が具体的に規定されており、通常の理解力を持つ者であれば禁止される行為の範囲を判断できるため、曖昧不明確なものとはいえない。
事件番号: 平成5(あ)253 / 裁判年月日: 平成7年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団的な実力行使が正当な抵抗権の行使として憲法上保障されるかは、その行為の手段、方法、規模、態様を総合考慮して決せられるべきであり、違法性が阻却されない態様での行為は憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備結集等の罪に問われた事案において、自らの行為は憲法上の抵抗権等に基づく…
結論
火炎びん処罰法1条および2条は、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条のいずれにも違反しない。
実務上の射程
本判決は、公共の安全を目的とした刑罰法規の明確性や合理性を肯定した事例である。司法試験の答案作成においては、罪刑法定主義(明確性の原則)や法の下の平等が争点となる場面で、特に危険性の高い凶器等の規制に関する立法裁量を肯定する際の論拠として参照できる。
事件番号: 昭和57(あ)1653 / 裁判年月日: 昭和58年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人らによる行為が正当防衛の要件を満たさず、かつ現行犯逮捕の手続にも違法な点がない場合、憲法31条、33条等の規定に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人ら9名が特定の所為(詳細は判決文からは不明)に及んだ事案。被告人らは、自らの行為が正当防衛に該当し違法性が阻却されること、及び捜査機…
事件番号: 昭和56(あ)929 / 裁判年月日: 昭和59年11月30日 / 結論: 棄却
一 刑訴法一九条により移送を受けた被告事件について、当初土地管轄のあることが明らかでなかつたとしても、その後管轄違の申立がされるまでの間に土地管轄が備わるに至つた場合には(判文参照)、土地管轄についての瑕疵は治癒される。 二 刑訴法六条による関連事件の管轄が認められるためには、いわゆる固有管轄事件及びその関連事件が共に…
事件番号: 昭和55(あ)1353 / 裁判年月日: 昭和56年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は現行憲法施行後も法律としての効力を有し、同法1条にいう「治安ヲ妨ケ」るという概念は明確性の原則に反せず、かつ同条の法定刑も残虐な刑罰にあたらない。 第1 事案の概要:被告人は爆発物取締罰則違反等の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が明治時代に制定された太政官布告等に由来す…
事件番号: 昭和53(あ)1760 / 裁判年月日: 昭和55年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は現行憲法施行後も法律としての効力を有し、「治安ヲ妨ケ」等の概念もあいまいで不明確とはいえず、憲法19条、31条、36条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、爆発物取締罰則違反の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が法律としての効力を欠くこと、また「治安ヲ妨ケ」等の…