爆発物取締罰則一条の合憲性
爆発則1条
判旨
爆発物取締罰則は現行憲法施行後も法律としての効力を有し、同法1条にいう「治安ヲ妨ケ」るという概念は明確性の原則に反せず、かつ同条の法定刑も残虐な刑罰にあたらない。
問題の所在(論点)
1. 爆発物取締罰則の法律としての有効性。2. 「治安ヲ妨ケ」という構成要件の明確性(憲法31条)。3. 爆発物取締罰則1条の法定刑の合憲性(憲法36条、13条等)。
規範
1. 爆発物取締罰則は、現行憲法施行後も法律としての効力を保有する。2. 構成要件の明確性については、通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的判断基準が読み取れるか否かによるが、同法1条の「治安ヲ妨ケ」るという概念は不明確とはいえない。3. 法定刑の適憲性については、それが「残虐な刑罰」(憲法36条)にあたらない限り、どのような法定刑を定めるかは立法政策の問題である。
重要事実
被告人は爆発物取締罰則違反等の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が明治時代に制定された太政官布告等に由来するものであり形式的に無効であること、また1条の「治安ヲ妨ケ」という要件が不明確で憲法31条に反すること、さらに同条の刑罰が苛酷であり憲法36条等に反することを理由として、上告を申し立てた。
あてはめ
1. 爆発物取締罰則は、憲法施行後の今日においても有効な法律として存続している(判例)。2. 「治安ヲ妨ケ」という概念は、爆発物の危険性や公共の安全という文脈から合理的に解釈可能であり、不明確ではない。3. 爆発物使用による殺傷や破壊の重大性に鑑みれば、同条に定められた刑は残虐な刑罰にはあたらず、その重軽の決定は立法府の合理的な裁量に委ねられるべき事項である。
事件番号: 昭和53(あ)1760 / 裁判年月日: 昭和55年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は現行憲法施行後も法律としての効力を有し、「治安ヲ妨ケ」等の概念もあいまいで不明確とはいえず、憲法19条、31条、36条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、爆発物取締罰則違反の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が法律としての効力を欠くこと、また「治安ヲ妨ケ」等の…
結論
爆発物取締罰則は合憲かつ有効であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
法令の明確性原則(31条)や残虐な刑罰(36条)が争点となる事案において、戦前からの法令の効力維持や、広範な文言を含む構成要件の合憲性を肯定する際の根拠として用いる。特に「治安」概念の明確性を肯定した点は、他の公安関連法規の解釈にも示唆を与える。
事件番号: 昭和55(あ)1756 / 裁判年月日: 昭和56年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は、明治17年太政官布告第32号として制定されたものであるが、現在においても法律としての効力を有しており、その規定内容に憲法違反の点はない。 第1 事案の概要:被告人両名は、爆発物取締罰則違反の罪により有罪判決を受けた。これに対し、被告人側は、同罰則が明治時代の太政官布告であり、適法…
事件番号: 昭和53(あ)472 / 裁判年月日: 昭和53年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は憲法施行後も法律としての効力を有し、その第1条にいう「治安ヲ妨ケ」るという概念は憲法31条が要求する刑罰法規の明確性の原則に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、爆発物取締罰則違反等の罪で起訴された。これに対し被告人側は、同罰則が明治時代の太政官布告であり、適正な立法手続を経て…
事件番号: 昭和53(あ)800 / 裁判年月日: 昭和53年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則は憲法施行後も法律としての効力を有し、その1条が定める構成要件は明確であり、法定刑の重さも立法政策の範囲内で憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人両名は、爆発物取締罰則違反等の罪で起訴された。弁護人は、同罰則が明治17年の太政官布告であり憲法上の「法律」にあたらないこと、1条の…