一 刑訴法一九条により移送を受けた被告事件について、当初土地管轄のあることが明らかでなかつたとしても、その後管轄違の申立がされるまでの間に土地管轄が備わるに至つた場合には(判文参照)、土地管轄についての瑕疵は治癒される。 二 刑訴法六条による関連事件の管轄が認められるためには、いわゆる固有管轄事件及びその関連事件が共に同一の裁判所に係属することを要するが、必ずしもその併合審判を要するものではない。
一 土地管轄についての瑕疵が治癒されたと認められた事例 二 刑訴法六条所定の関連事件の管轄と併合審判の要否
刑訴法2条,刑訴法6条,刑訴法7条,刑訴法9条,刑訴法19条,刑訴法329条,刑訴法331条,刑訴法378条1号,刑訴法398条,刑訴法399条,刑訴法412条
判旨
共謀共同正犯は、共謀に基づき他人の行為を自己の手段として犯罪を行った場合に成立し、憲法に違反しない。また、起訴時に土地管轄を欠いていても、訴訟係属中に管轄権を有する関連事件が同一裁判所に係属した場合には、管轄の瑕疵は治癒される。
問題の所在(論点)
1. 実行行為に関与しない共謀者の刑事責任(共謀共同正犯)の合憲性。 2. 起訴後に管轄原因が生じた場合、土地管轄の瑕疵は治癒されるか。 3. 関連事件の管轄(刑訴法6条)成立に、弁論の併合は必要か。
規範
1. 実行行為に直接関与していない者であっても、共謀に参加した事実が認められる以上、他人の行為を自己の手段として犯罪を行ったものとして、共謀共同正犯の刑事責任を負う。 2. 関連事件の管轄(刑訴法6条)が成立するためには、固有管轄事件と関連事件が同一裁判所に係属することを要するが、併合審判までは不要である。 3. 訴訟係属の発生後、一時的に土地管轄が不明確な状態であっても、その後に土地管轄を備えるに至った場合には、管轄の瑕疵は治癒される。
重要事実
事件番号: 昭和56(あ)1398 / 裁判年月日: 昭和58年10月13日 / 結論: 棄却
刑訴法一九条により移送を受けた被告事件について、その当時土地管轄があることが明らかでなかつたとしても、その後管轄違の申立がされるまでの間に土地管轄が具備されるに至つた場合には(判文参照)、土地管轄についての右瑕疵は治癒される。
千葉地裁に起訴された被告人らが、東京地裁への移送決定を経て同地裁に係属した。移送当時は、被告人らの住所地等の関係から東京地裁に土地管轄があるとはいえない状態であった。しかし、その後、被告人らと共通の公訴事実で起訴された共犯者Cが、東京都内に住所を有することが判明。Cは改めて東京地裁に起訴され、被告人らの事件と関連事件(刑訴法9条1項2号)の関係にあるCの事件が同一裁判所に係属するに至った。被告人らは土地管轄の欠如(管轄違)を主張した。
あてはめ
1. 被告人らは実行行為者らと意思を相通じ共謀したと認められるため、共謀共同正犯としての責任を負い、これは合憲である。 2. 土地管轄について、移送時点では東京地裁に管轄権がなく、本来は管轄違の判決を免れない状態であった。しかし、後に住所地を東京に有する共犯者Cが同地裁に起訴されたことで、Cの事件と関連する被告人らの事件についても、刑訴法6条に基づき土地管轄が備わったといえる。 3. 刑訴法6条・7条の趣旨から、関連事件の管轄は同一裁判所に係属すれば足り、必ずしも併合して審判されることまでは要しない。したがって、Cの事件と併合されずとも管轄権は肯定される。
結論
被告人らには共謀共同正犯が成立し、また、後に管轄原因が備わったことで土地管轄の瑕疵は治癒されたため、東京地裁が実体審理を行ったことは正当である。
実務上の射程
共謀共同正犯の確立した判例であるとともに、土地管轄の瑕疵の治癒を認めた重要判例。実務上、管轄違いがあっても判決時までに管轄原因が具備されれば有効となり得ること、および関連事件の管轄において「併合審判」が必須ではないことを示す際に用いる。
事件番号: 平成5(あ)253 / 裁判年月日: 平成7年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団的な実力行使が正当な抵抗権の行使として憲法上保障されるかは、その行為の手段、方法、規模、態様を総合考慮して決せられるべきであり、違法性が阻却されない態様での行為は憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備結集等の罪に問われた事案において、自らの行為は憲法上の抵抗権等に基づく…
事件番号: 昭和55(あ)1181 / 裁判年月日: 昭和56年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】火炎びんの使用等の処罰に関する法律(火炎びん処罰法)は、規制対象行為の危険性に照らし立法根拠が認められ、差別的立法ではなく、構成要件も明確であるため、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反等で起訴された。こ…
事件番号: 昭和57(あ)1653 / 裁判年月日: 昭和58年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人らによる行為が正当防衛の要件を満たさず、かつ現行犯逮捕の手続にも違法な点がない場合、憲法31条、33条等の規定に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人ら9名が特定の所為(詳細は判決文からは不明)に及んだ事案。被告人らは、自らの行為が正当防衛に該当し違法性が阻却されること、及び捜査機…