いわゆる成田仮処分事件
判旨
被告人らによる行為が正当防衛の要件を満たさず、かつ現行犯逮捕の手続にも違法な点がない場合、憲法31条、33条等の規定に違反するものではない。
問題の所在(論点)
1. 被告人らの行為に正当防衛が成立し、違法性が阻却されるか。 2. 本件における現行犯逮捕の手続に憲法違反または刑事訴訟法上の違法があるか。
規範
1. 正当防衛(刑法36条1項)の成否については、急迫不正の侵害の有無、自己又は他人の権利を防衛するためであること、及び行為の相当性を総合的に判断し、これらを満たさない場合は違法性が阻却されない。 2. 現行犯逮捕の適法性については、刑事訴訟法212条等の規定に基づき、犯罪の現行性・明白性及び逮捕の必要性等の適法要件を備えているかを判断する。
重要事実
被告人ら9名が特定の所為(詳細は判決文からは不明)に及んだ事案。被告人らは、自らの行為が正当防衛に該当し違法性が阻却されること、及び捜査機関による現行犯逮捕の手続が憲法33条・31条に違反する違法なものであること等を主張して上告した。
あてはめ
1. 記録によれば、被告人ら9名の本件各所為については、侵害の急迫性や防衛の意思、あるいは行為の相当性のいずれか(詳細は判決文からは不明)を欠くため、正当防衛が成立しないとした原判断は正当である。 2. 現行犯逮捕についても、手続過程において実体的な逮捕要件及び憲法上の手続保障を逸脱した事実は認められず、違法ではないとした原判断に誤りはない。
結論
被告人らの行為に正当防衛は成立せず、現行犯逮捕手続も適法である。したがって、憲法違反等の上告理由は認められず、本件各上告を棄却する。
事件番号: 平成5(あ)253 / 裁判年月日: 平成7年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団的な実力行使が正当な抵抗権の行使として憲法上保障されるかは、その行為の手段、方法、規模、態様を総合考慮して決せられるべきであり、違法性が阻却されない態様での行為は憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備結集等の罪に問われた事案において、自らの行為は憲法上の抵抗権等に基づく…
実務上の射程
本決定は、具体的な事実認定を前提として正当防衛と現行犯逮捕の適法性を肯定した事例判断である。司法試験の答案作成においては、正当防衛の各要件(急迫不正の侵害、防衛の意思、相当性)や現行犯逮捕の要件を具体的事実に基づいて丁寧に検討する姿勢の重要性を示すものといえる。ただし、本決定自体は三行決定に近く、新たな法的規範を示したものではないため、既存の判断枠組みを維持する趣旨で引用するに留めるべきである。
事件番号: 昭和56(あ)235 / 裁判年月日: 昭和57年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2第1項(凶器準備集合罪)は、処罰の実質的根拠があり、その規制範囲が広汎すぎたり不明確であったりするとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定が、処罰の実質的根拠に乏しく、規制範囲が広汎かつ不明確であると主張して、憲法…
事件番号: 昭和55(あ)1181 / 裁判年月日: 昭和56年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】火炎びんの使用等の処罰に関する法律(火炎びん処罰法)は、規制対象行為の危険性に照らし立法根拠が認められ、差別的立法ではなく、構成要件も明確であるため、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反等で起訴された。こ…
事件番号: 昭和61(あ)42 / 裁判年月日: 平成元年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】社会運動の一環として行われた行為であっても、その手段、方法、規模、態様が社会通念上相当な範囲を逸脱する場合には、正当な行為として違法性が阻却されることはない。 第1 事案の概要:被告人らは、自らの主張を実現するための社会運動等に関連して、一定の手段、方法を用いて特定の行為(詳細な行為態様は判決文か…
事件番号: 昭和58(あ)1400 / 裁判年月日: 昭和62年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白調書の証拠能力について、その任意性に疑いがないと認められる場合には、憲法31条、38条に違反せず、証拠として採用することが認められる。 第1 事案の概要:被告人A、Bおよびその共犯者らによる刑事事件において、検察官側が共犯者らの各供述調書を証拠として提出した。これに対し弁護側は、当該供…