一 公職選挙法二五二条二項所定の選挙権被選挙権に対する制限は、同条項所定の裁判の確定に伴い当然に発生するものであつて、裁判により形成される効果ではない。 二 原判決が、被告人の公判延における供述態度を量刑の資料としたにとどまる場合は、被告人に不利益な供述を強要したものとはいえない。
一 公民権停止と憲法三一条 二 公判延における被告人の供述態度を量刑の資料とすることと憲法三八条
憲法31条,憲法38条,公職選挙法252条2項
判旨
公職選挙法252条2項に基づく選挙権等の制限は、裁判の確定に伴い法律上当然に発生する効果であり、被告人の供述態度を量刑資料とすることは自己負罪拒否権に抵触しない。
問題の所在(論点)
1. 公職選挙法252条2項による公民権制限の法的性質と、憲法31条への抵触の有無。 2. 被告人の公判における供述態度を量刑資料とすることが、憲法38条1項の自己負罪拒否権に違反するか。
規範
1. 公職選挙法252条2項による選挙権・被選挙権の制限は、特定の裁判の確定という事実に伴って法律上当然に発生する附随的効果であり、裁判そのものによって形成される刑罰の内容ではない。 2. 憲法38条1項の自己負罪拒否権との関係では、被告人の公判における供述態度を量刑の資料(情状)として考慮することは、不利益な供述を強要するものとはいえず、許容される。
重要事実
被告人が公職選挙法違反の罪に問われた事案において、第一審・控訴審が有罪判決を下した。これに対し弁護人が、①公職選挙法252条2項による選挙権等の制限は憲法31条(適正手続)に違反する、②被告人の公判における供述態度を量刑資料とすることは憲法38条1項(自己負罪拒否権)に違反する、として上告した事案である。
あてはめ
1. 本件における選挙権等の制限は、法252条2項の規定に基づき、有罪判決の確定という事実によって自動的に生じる。したがって、裁判所が裁量で科す刑罰そのものではないため、手続的適正を欠く等の違法はない。 2. 原判決は被告人の公判における「供述の内容」を無理やり引き出したのではなく、あくまで「供述する際の態度」を量刑上の一情状として評価したに過ぎない。これは供述の強要には当たらず、自己負罪拒否権の侵害は認められない。
結論
本件上告を棄却する。公職選挙法上の制限は法律上当然の効果であり、供述態度の量刑考慮も憲法違反には当たらない。
実務上の射程
憲法31条の適正手続や38条の自己負罪拒否権が問題となる刑事訴訟・憲法の答案において、判決の効果としての附随的制限の性質や、反省の有無といった『供述態度』を量刑要素とすることの合憲性を論じる際の論拠として使用できる。
事件番号: 昭和57(あ)1151 / 裁判年月日: 昭和58年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の制限は憲法14条、44条に違反せず、また買収罪等の構成要件の規定は憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、選挙に関し、公職選挙法221条1項1号・4号に規定される買収罪、および同法129条・239条1号に規定される事前運動の禁止に違反したと…