公職選挙法二二一条一項一号、四号、一二九条、二三九条一号の定める犯罪の構成要件が不明確であるとは認められないから、憲法三一条違反の主張は前提を欠くとされた事例
憲法31条,公選法129条,公選法221条1項1号,公選法221条1項4号,公選法239条1号
判旨
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の制限は憲法14条、44条に違反せず、また買収罪等の構成要件の規定は憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の制限は、憲法14条および44条に違反するか。2. 公職選挙法における買収罪および事前運動禁止の構成要件は、憲法31条が要求する明確性の原則に反するか。
規範
1. 刑罰に伴う資格制限(公職選挙法252条等)が憲法14条(平等権)および44条(選挙権等の資格の平等)に違反するか否かは、選挙の公正確保という正当な目的達成のために必要かつ合理的な制限であるかにより判断される。2. 刑罰法規の構成要件が憲法31条に違反するか否かは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、何が禁止されているかが明確であるかにより判断される。
重要事実
被告人らは、選挙に関し、公職選挙法221条1項1号・4号に規定される買収罪、および同法129条・239条1号に規定される事前運動の禁止に違反したとして起訴された。被告人側は、同法252条による選挙権等の停止規定が憲法14条・44条に違反すること、および買収罪等の構成要件が不明確であり憲法31条(適正手続・罪刑法定主義)に違反することを主張して上告した。
あてはめ
1. 判例(最大決昭30.2.9)を引用し、選挙犯罪を犯した者に対する一定期間の権利制限は、選挙の浄化・公正を期するための合理的措置であり、憲法14条、44条に違反しない。2. 本件における買収罪(221条)および事前運動(129条)の構成要件は、法文の解釈によりその禁止内容が十分特定可能であり、不明確であるとは認められない(最決昭38.10.22参照)。したがって、適正な告知を欠くものとはいえず、憲法31条に違反しない。
結論
公職選挙法252条は憲法14条、44条に違反せず、同法221条、129条等の規定も憲法31条に違反しない。本件各上告を棄却する。
実務上の射程
選挙権の制限に関する合憲性判断の基準、および刑罰法規の明確性の原則に関する実務上の確認として機能する。答案作成上は、公職選挙法の罰則規定の合憲性が問われた際の、確定した判例的立場として引用すべき事案である。
事件番号: 昭和38(あ)3 / 裁判年月日: 昭和38年5月17日 / 結論: 棄却
公職選挙法(昭和三七年法律第一一二号による改正前のもの)第一一条第二項、第二五二条は憲法第一四条、第一五条、第四四条に違反しない。