公職選挙法の規定による選挙権被選挙権停止の効果は、全く裁判所の法定の手続によりなされる選挙犯罪に対する有罪判決にかかるものである(公職選挙法二五二条三項による選挙権被選挙権の不停止または停止期間の短縮については、右有罪判決においてその判断が明示されるから、右の関係はなおさら明らかである)から、所論のように選挙権被選挙権停止の不利益が何等法律の定める手続によらないで科せられるものということはできない。
公職選挙法違反罪において選挙権、被選挙権停止の処分は法律の定める手続によらないものといえるか
公職選挙法252条,憲法31条
判旨
公職選挙法252条による選挙権および被選挙権の停止規定は、憲法11条、15条、44条および31条に違反しない。当該不利益は裁判所の法定の手続に基づく有罪判決に伴って生じるものであり、適正手続の保障に反するものではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条の規定による選挙権および被選挙権の停止は、憲法11条、15条、44条および31条に違反するか。
規範
選挙権・被選挙権の制限が合憲であるためには、その制限が公共の福祉のために必要かつ合理的であると認められるべきである。また、手続面においては、当該不利益が法律の定める適正な手続(憲法31条)に基づき、裁判所の司法判断を介して行われる必要がある。
重要事実
被告人は選挙犯罪を犯し、公職選挙法252条1項および2項に基づき、一定期間の選挙権および被選挙権を停止されることとなった。これに対し、被告人側は、同条が国民の基本的人権(憲法11条)、参政権(15条)、公職候補者の資格における差別禁止(44条)に違反し、かつ、適正な手続によらずに権利を制限するものであるから憲法31条にも違反すると主張して上告した。
あてはめ
実体面については、先行する大法廷判決の趣旨に照らし、選挙の公正を確保するという公共の福祉の観点からなされる合理的な制限として、憲法11条、15条、44条に違反しない。手続面については、選挙権等の停止は、裁判所による法定の手続(刑事訴訟等)を経た有罪判決を前提としている。さらに、同法252条3項により、裁判所は情状により停止期間の短縮や不停止を判断する余地も与えられており、その判断は有罪判決において明示される。したがって、法律の定める手続によらずに不利益を科すものとはいえない。
結論
公職選挙法252条1項および2項は合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
選挙権という重要権限の制限であっても、選挙の公正確保という目的があり、かつ刑事裁判という司法手続の付随的効果として構成されている場合には、実体・手続の両面で合憲性が認められやすいことを示す。答案では参政権の制限の限界と適正手続の射程として引用できる。
事件番号: 昭和30(あ)1699 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五二条に規定する選挙権、被選挙権の停止の処遇は、法律の定める手続によらないものではない。