公職選挙法第二五二条に規定する選挙権、被選挙権の停止の処遇は、法律の定める手続によらないものではない。
選挙権被選挙権の停止の処遇と法律の定める手続
公職選挙法252条,憲法31条
判旨
公職選挙法252条に基づく選挙権等の停止は、選挙の公正確保と本人の反省を目的とする合理的な制限であり、選挙犯罪の刑事裁判手続と不可分に行われるため、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条に基づく選挙権・被選挙権の停止規定は、憲法31条(適正手続の保障)に違反するか。特に、刑事裁判における刑の言渡しと同時に行われる手続の妥当性が問題となる。
規範
公職の選挙権・被選挙権は重要な基本的人権であるが、選挙の公正を確保するため、これに反した者を一時的に行使から遠ざけることは相当であり、不当に参政権を奪うものではない。また、この停止処遇は選挙犯罪の刑の言渡しとともに定められ、公判での証拠調べを含む有罪認定・量刑判断の過程と表裏不可分の関係にあるため、別途の告知・聴聞の手続を要さずとも憲法31条の適正手続に反しない。
重要事実
被告人らは公職選挙法違反(選挙犯罪)に問われ、有罪判決を受けた。その際、同法252条1項に基づき選挙権及び被選挙権の停止を命じられた。被告人らは、この停止措置が憲法31条にいう刑罰に該当するにもかかわらず、起訴状への記載や当該措置に関する独自の証拠調べ・弁論等の法律に定める手続を経ずに科されたものであり、同条に違反する違憲の立法であると主張して上告した。
あてはめ
選挙権等の停止は、選挙犯罪の審理過程と不可分である。具体的には、裁判所が公判で証拠調べを行い、有罪と認める際に量刑とともに考慮される。同条3項により、情状に応じた停止期間の短縮や不適用といった裁量的判断の道も開かれており、事実上、本来の刑事手続に包含されているといえる。起訴状への罰条記載がない点や検察官の意見陳述が必須でない点は、手続の適正性を欠くものではない。したがって、独立した手続を経ずとも、裁判を通じて実質的な適応の機会が与えられている。
結論
公職選挙法252条は、憲法31条に違反しない。したがって、適正な手続により選挙権等の停止を命じた原判決は正当である。
実務上の射程
選挙権の制限という参政権の重大な制約であっても、公正な選挙の維持という公共の福祉に基づく合理的な目的があれば、刑事手続に付随する形での制限が可能であることを示す。公選法上の附随的処遇全般の違憲性を論じる際の枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和29(あ)2728 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条1項が規定する、一定の選挙犯罪を犯した者に対する選挙権及び被選挙権の停止は、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは公職選挙法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた。その際、同法252条1項に基づき、選挙権及び被選挙権の停止が付随した。これに対し、被告人らは当該規定が選挙権等…