論旨は、公職選挙法第二五二条の規定する選挙権および被選挙権の停止は、憲法第三一条にいわゆる刑罰であるから公開法廷においてこれを宣告すべきであるのに、その宣告の手続を採らなかつた一審判決を是認した原判決は、憲法第三一条、第八二条に違反する違法があるというのであるが、右違憲の主張がその前提を欠き採用できないことは既に当裁判所の判例とするところである(昭和三五年一二月二日第二小法廷判決、刑集一四巻一三号一七八六頁参照)。
公職選挙法第二五二条の規定する選挙権および被選挙権の停止を公開法廷において宣告の手続を採らなかつた第一審判決を是認した原判決は憲法違反の違法があると主張する上告の適否。
公職選挙法252条,憲法31条,憲法82条,刑訴法405条
判旨
公職選挙法252条に基づく選挙権及び被選挙権の停止は、憲法31条にいう「刑罰」には当たらないため、判決の主文でその旨を宣告する必要はない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条に基づく選挙権及び被選挙権の停止は、憲法31条にいう刑罰に該当するか。また、その停止について公開法廷での宣告を要するか。
規範
公職選挙法252条所定の選挙権及び被選挙権の停止は、特定の犯罪に付随して当然に生ずる法律上の効果であり、刑法上の刑罰そのものではない。したがって、憲法31条の適正手続や憲法82条の公開法廷における宣告を要する刑罰の言い渡しには該当しない。
重要事実
被告人は公職選挙法違反(事前運動、買収等)の罪に問われ、一審判決およびそれを維持した控訴審判決を受けた。弁護人は、公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止は実質的に刑罰であるため、公開法廷での宣告が必要であるにもかかわらず、その宣告手続を経ていない判決は憲法31条および82条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁の確立した判例によれば、公職選挙法252条による資格停止は、選挙の公正を確保するための行政的・政策的な制限としての性質を有するものであり、刑法上の刑罰(生命刑、自由刑、財産刑)とは性質を異にする。本件においても、一審判決が同条に基づき当然に生じる資格停止について主文で宣告しなかったことは、適正手続の要請に反するものではなく、憲法31条および82条に違反するとの主張は前提を欠く。
結論
公職選挙法252条による資格停止は刑罰ではないため、公開法廷での宣告手続を欠いても憲法に違反しない。
実務上の射程
選挙犯罪に伴う資格停止の法的性質が「刑罰」ではないことを明示した判例である。答案上は、憲法31条の適正手続の保障が及ぶ「刑罰」の範囲や、公職選挙法の資格制限規定の合憲性を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4260 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条が定める、選挙犯罪を理由とする選挙権及び被選挙権の停止規定は、憲法前文及び同法1条等の趣旨に反するものではなく、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、公職選挙法違反の罪で起訴され、有罪判決を受けた。これに対し、同法252条(選挙犯罪による選挙権及び被選挙権の停止)の規定…