一 選挙権および被選挙権の停止は、正当な法律の手続による公判審理の結果による公職選挙法第二五二条第一項または第二項所定の処刑の事実に伴う法律条当然の効果であつて刑罰ではなく、公開の法律で宣告をしないからといつて法律の定める手続によらないものとはいえない。 二 選挙人が他の選挙人の氏名を詐称しこれによつて投票をした以上、投票管理側の者がその情を知つていたと否とにかかわらず、公職選挙法第二三七条第二項の氏名を詐称して投票した罪が成立する。
一 選挙権および被選挙権の停止と法律の定める手続 二 選挙人の氏名詐称について投票管理者の知情と公職選挙法第二三七条第二項の罪の成否
公職選挙法252条1項,公職選挙法252条2項,公職選挙法237条2項,憲法31条,憲法82条
判旨
公職選挙法252条に基づく選挙権・被選挙権の停止は、処刑の事実に伴う当然の法律上の効果であり、憲法31条にいう刑罰には当たらないため、特段の宣告手続を要しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条に基づく選挙権・被選挙権の停止が、憲法31条にいう「刑罰」に該当するか。また、判決においてその停止を個別に宣告する手続を要するか。
規範
公職選挙法252条1項または2項の規定による選挙権および被選挙権の停止は、特定の罪につき処刑された事実に伴って当然に生ずる法律上の効果である。これは刑法が規定する「刑罰」そのものではなく、同条3項に基づく宣告を行う場合を除き、裁判所による特段の宣告手続(公開法廷での宣告等)を必要とするものではない。
重要事実
被告人は公職選挙法違反の罪に問われ、一審判決において禁錮刑に処せられた。この際、公職選挙法252条の規定に基づき被告人の選挙権および被選挙権が停止されることとなったが、裁判所は判決においてこの停止に関する特段の宣告を行わなかった。被告人側は、当該権利の停止は憲法31条の刑罰に該当し、公開法廷での宣告を欠く手続は違憲であるとして上告した。
あてはめ
本件における選挙権・被選挙権の停止は、被告人が正当な法律の手続(公判審理)を経て禁錮刑に処せられたことに伴い、同法の規定により当然に発生する付随的効果である。被告人は適正な手続により主刑たる禁錮刑の宣告を受けており、その処刑を前提として生じる権利停止もまた法律の定める手続(公職選挙法252条)に従ったものといえる。したがって、刑罰そのものの宣告とは異なり、独立した宣告手続を欠いても憲法31条または82条に違反するものではない。
結論
選挙権・被選挙権の停止は刑法上の刑罰ではなく、処刑に伴う当然の法的効果である。したがって、判決での宣告手続は不要であり、原判決に憲法違反はない。
実務上の射程
刑事手続と行政的・附随的処分の峻別を示す射程を持つ。答案上では、資格制限や権利停止が「刑罰」そのものではなく、有罪判決に伴う法的効果として構成されている場合、適正手続(31条)の保障は主刑の裁判手続を通じて確保されていると論ずる際の論拠となる。
事件番号: 昭和30(あ)1696 / 裁判年月日: 昭和31年3月27日 / 結論: 棄却
原判決中に、公職選挙法第二二一条第一項第四号の罪に関し「被告人は、自己の自由裁量をもつて配下の各選挙運動者に対する報酬の供与、酒食の饗応等の費用にこれをあて、たとえ余剰金が生じても、これを甲者等に返還せず、自由にこれを処分すべき意思の下に、該金円の供与を受けたものである」と判示した部分があつても、他の部分において、「甲…