所論選挙権並びに被選挙権の停止は、公職選挙法二五二条の明定するところであり、同条によれば、同条所定の罪につき、同条所定の刑に処せられたものは、同条所定の期間内選挙権及び被選挙権を有しないというのであつて、右権利の停止は、同条所定の処刑の事実に伴うて当然に生ずる法律上の効果であつて、特に何らの手続を要するものでなく、被告人が正当な法律の手続によつて、刑に処せられた以上選挙権等の停止は右処刑に伴う法律上当然の効果であるから、ひつきよう、法律の定める手続によつて、なされたものに帰する。
公職選挙法違反罪において選挙権、被選挙権停止の効果は法律の定める手続によらないものか
公職選挙法252条,憲法31条
判旨
公職選挙法に基づく選挙権及び被選挙権の停止は、同法所定の罪について所定の刑に処せられた事実に伴って当然に生じる法律上の効果である。したがって、正当な法律の手続によって刑に処せられた以上、付随する権利停止も法律の定める手続によったものと認められ、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止が、裁判等の特別な手続を要せず「当然に生じる法律上の効果」とされることが、適正手続等の憲法上の要請に反しないか。
規範
公職選挙法252条の規定による選挙権および被選挙権の停止は、特定の罪に対して特定の刑が科された場合に、法律上当然に発生する付随的効力である。この権利停止は、特に独立した手続を要するものではなく、本体の刑罰を科す手続(正当な法律の手続)によって担保されるものである。
重要事実
被告人は公職選挙法違反の罪に問われ、同法252条が規定する刑に処せられた。被告人側は、同条に基づく選挙権および被選挙権の停止が、適正な手続を経ずになされる権利侵害であり、違憲であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人は公職選挙法252条所定の罪について、正当な法律の手続(刑事裁判)を経て刑に処せられている。同条による権利停止は、この処刑の事実に付随して法律上当然に発生する効果であり、別途の手続を必要とする性質のものではない。刑の言い渡し自体が正当な法律の手続に基づいている以上、それに伴う権利停止もまた「法律の定める手続」によったものと評価できる。
結論
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止は合憲である。被告人に対する権利停止も法律の定める手続に基づいたものといえるため、上告を棄却する。
実務上の射程
選挙権の制限が「当然の法的効果」として生じる仕組みの妥当性を肯定した判例である。答案上では、憲法15条の参政権制限や31条の適正手続が問題となる場面で、刑罰に付随する資格制限が別個の手続を要せずとも合憲とされる構成を示す際に引用できる。ただし、現代の判例理論(クロサキ事件等)における制限の必要性・合理性の検討枠組みとは別に、手続面での形式的整合性を説明する法理として位置づけるべきである。
事件番号: 昭和29(あ)1713 / 裁判年月日: 昭和30年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条の規定による選挙権及び被選挙権の停止(欠格条項)は、憲法に違反せず合憲である。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法違反の罪に問われ、同法252条に基づき選挙権及び被選挙権が停止されることとなった。これに対し、被告人側は当該規定が憲法に違反し無効であると主張して上告した。 第2 …