判旨
公職選挙法252条の規定による選挙権・被選挙権の停止は、憲法の各条項に反するものではなく、合憲である。また、自由刑と罰金刑の間で停止期間の均衡を失しているとの主張についても、刑の執行終了後の期間設定を含めれば法文上合理性が認められる。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止規定は、参政権を保障する憲法各条項、あるいは法の下の平等を定めた憲法14条等に違反し、違憲といえるか。
規範
選挙権・被選挙権といった参政権の制限は、公正な選挙の確保という重要な公共の福祉上の要件に基づくものであり、その具体的態様が憲法の各条項に反しない限り、立法府の裁量として認められる。刑罰の種類に応じた停止期間の差異についても、法文上の合理的な区別に基づくものであれば、法の下の平等に反しない。
重要事実
被告人らは公職選挙法違反の罪に問われ、同法252条に基づき、一定期間の選挙権および被選挙権の停止を命じられた。これに対し、被告人らは、同条による権利停止が憲法に違反するものであると主張。特に、同条1項の規定によれば、罰金刑の方が他の重い刑(自由刑)よりも実質的に権利停止期間が長くなり、不合理な差別にあたると主張して上告した。
あてはめ
判例(最大判昭和30年2月9日等)の趣旨に照らせば、本件の権利停止規定は憲法のいずれの条項にも反しない。被告人が主張する「罰金刑の方が権利停止期間が長い」との点については、自由刑(体刑)の場合には刑の執行を受けている期間中だけでなく、その執行を終えた後さらに5年間停止されることが法文上明らかである。したがって、罰金刑と自由刑との比較において不合理な逆転現象があるとの主張は根拠を欠き、合理的な範囲内での権利制限と評価できる。
結論
公職選挙法252条は憲法に違反せず合憲であるため、これに基づく権利停止を是認した原判決に違憲の違法はない。上告は棄却される。
実務上の射程
参政権の制限に関する合憲性判断において、公職選挙法上の資格制限規定を維持した事例である。司法試験においては、選挙権の制限が「やむを得ない事由」があるかという厳格な審査基準(最大判平成17年9月14日等)以前の、より広範な立法裁量を認めていた時期の判断として位置づけられる。ただし、刑罰に伴う附随的制限の合理性を論じる際のリファレンスとなる。
事件番号: 昭和29(あ)3238 / 裁判年月日: 昭和30年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条1項の規定により、選挙犯罪による刑罰を受けた者に対して一定期間の選挙権および被選挙権を停止することは、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は選挙犯罪に問われ、公職選挙法252条1項に基づき選挙権および被選挙権の停止を科された。これに対し被告人側は、同条項による参政権の制限…