判旨
公職選挙法252条1項の規定により、選挙犯罪による刑罰を受けた者に対して一定期間の選挙権および被選挙権を停止することは、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条1項が、特定の選挙犯罪を犯した者に対して一律に選挙権および被選挙権を停止させることが、憲法15条1項、3項、44条但書等の参政権保障の趣旨に反し、違憲とならないか。
規範
憲法が保障する参政権(選挙権・被選挙権)は国民の重要な権利であるが、選挙の公正を確保し民主主義の基盤を維持するという公共の福祉の観点から、必要かつ合理的な範囲内で制限することが許容される。具体的には、選挙犯罪により処罰された者に対し一定期間その権利を停止する措置は、憲法の許容する合理的な制限に該当する。
重要事実
被告人は選挙犯罪に問われ、公職選挙法252条1項に基づき選挙権および被選挙権の停止を科された。これに対し被告人側は、同条項による参政権の制限は憲法に違反し無効である旨を主張して上告した。なお、具体的な犯行事実の詳細については本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、先行する大法廷判決(昭和30年2月9日判決)を引用し、選挙権等の制限に関する公職選挙法の規定は合憲であるとの判断を維持した。同規定は、選挙の公正を著しく害した者から一時的に参政権を剥奪することで、選挙制度に対する国民の信頼を回復し、将来の不正を抑止する目的があると解される。この目的は正当であり、手段としての権利停止も合理的範囲内にあるといえる。
結論
公職選挙法252条1項は憲法に違反しない。したがって、同条項に基づく選挙権・被選挙権の停止を合憲とした原判決は正当であり、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
参政権の制限に関する合憲性判定において、選挙の公正確保という公益目的による制限を肯定する基礎的な判例である。答案上は、権利の重要性を指摘しつつも、公職選挙法による具体的な制限が「必要かつ合理的な範囲」に留まるか否かを論ずる際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和28(あ)4260 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条が定める、選挙犯罪を理由とする選挙権及び被選挙権の停止規定は、憲法前文及び同法1条等の趣旨に反するものではなく、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、公職選挙法違反の罪で起訴され、有罪判決を受けた。これに対し、同法252条(選挙犯罪による選挙権及び被選挙権の停止)の規定…