判旨
公職選挙法252条1項による選挙権等の制限は、裁判の確定に伴う法律上の当然の効果であり、刑事判決の内容そのものではないため、同条の違憲論は判決に対する適法な上告理由にならない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条1項(選挙犯罪による選挙権等の停止)の違憲性を、刑事判決に対する上告理由として主張できるか。具体的には、同条による制限が「判決の内容」に含まれるかが問題となる。
規範
刑事判決における上告理由は、憲法違反や判例違反等(刑訴法405条)に限定される。法律の規定に基づく選挙権等の制限が、裁判の確定という事実に伴う法律上の当然の効果として生じる場合、その規定の違憲性は判決そのものの憲法違反を構成せず、上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が公職選挙法違反の罪に問われ、第一審で有罪判決を受けた。弁護人は、公職選挙法252条1項(現行法も同旨)が定める選挙権及び被選挙権の制限は憲法に違反すると主張し、第一審判決が同条を適用しない旨を宣告しなかったことを理由に上告を申し立てた。
あてはめ
公職選挙法252条1項は、所定の裁判が確定したという事実に基づき、法律上の効果として当然に選挙権等の制限を生じさせるものである。そのため、第一審および原審の判決自体がその制限を内容として言い渡したわけではない。したがって、同条の違憲論は判決自体の憲法違反を指摘するものではなく、刑訴法405条所定の上告理由に該当しないと解される。また、仮に同条が違憲であれば、裁判所の宣告の有無にかかわらず制限は発生しないため、宣告の欠如を違憲とする主張も理由がない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
刑事手続において、判決主文に含まれない「附随的・法的効果(当然の資格制限等)」の根拠規定の違憲性を争うことは、判決に対する上告理由としては不適法とされる。同様の構造を持つ他の欠格事由等についても射程が及ぶ可能性がある。
事件番号: 昭和28(あ)3945 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法違反の罪により刑に処せられたことに伴う選挙権及び被選挙権の制限は、法律上当然に発生する効果であり、裁判所が判決において公職選挙法252条を適用・宣言せずとも当然にその制約が及ぶ。また、同条3項の不適用は裁判所の裁量の範囲内であり、何ら法令違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人は公職…