弁護人の上告趣意中違憲をいう点は原判決の維持した第一審判決の適用していない公職選挙法二五二条一項の規定が、憲法一五条に違反し無効であるというのであつて、判決に対する攻撃とは認められないから、上告適法の理由として採用し難い。
判決の適用していない法令の憲法違反を主張する上告の適否 ―公職選挙法第二五二条の不適用―
刑訴法411条,公職選挙法252条
判旨
判決において適用されていない法令の違憲を主張することは、判決に対する有効な攻撃とは認められず、適法な上告理由にならない。
問題の所在(論点)
判決において適用されていない法令の違憲を主張することが、刑事訴訟法405条の上告理由(憲法違反)として認められるか。
規範
上告趣意において憲法違反を主張する場合、それは原判決またはその維持した第一審判決が適用した法令、あるいは判決そのものの判断を対象とする必要がある。判決の根拠として適用されていない規定の違憲を主張することは、判決そのものの当否を争うことにならず、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人が公職選挙法違反の罪に問われた事案において、弁護人は上告趣意の中で同法252条1項の規定が憲法15条に違反し無効であると主張した。しかし、本件の原判決および第一審判決において、同規定(選挙権・被選挙権の停止等)は適用されていなかった。
あてはめ
弁護人が主張する公職選挙法252条1項の違憲性は、原判決が維持した第一審判決において実際に適用された規定ではない。したがって、当該主張は判決の判断の誤りを指摘する「判決に対する攻撃」としての実質を備えていない。その他の主張も単なる訴訟法違反にすぎず、刑訴法405条の上告理由に該当する事由は認められない。
結論
本件上告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
憲法訴訟における「具体的な争訟性」や「裁判の欠缺」に関連し、上告審で憲法違反を主張する際には、当該規定が判決の結論に影響を及ぼす形で適用されている必要があることを示す。実務上は、適用違憲や法令違憲を争う際の対象選択の基礎となる。
事件番号: 昭和28(あ)5137 / 裁判年月日: 昭和29年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条1項による選挙権等の制限は、裁判の確定に伴う法律上の当然の効果であり、刑事判決の内容そのものではないため、同条の違憲論は判決に対する適法な上告理由にならない。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法違反の罪に問われ、第一審で有罪判決を受けた。弁護人は、公職選挙法252条1項(現行法…