判例違反の主張が前提を欠くとされた事例
判旨
本件は、業務上過失致死傷罪における予見可能性の有無をめぐる上告審判決であり、原判決が予見可能性の判断を欠いていないことを理由に、条件的因果関係のみで責任を認めたとする弁護人の主張を退け、上告を棄却した。
問題の所在(論点)
業務上過失致死傷罪において、予見可能性の判断を欠いたまま条件的因果関係のみで刑事責任を肯定できるか、および原判決にその誤りがあるか。
規範
刑法上の過失犯(特に業務上過失致死傷罪)の成立には、単なる条件的因果関係の存在のみならず、結果発生に対する予見可能性の存在が必要である。
重要事実
被告人が業務上過失致死傷罪に問われた事案において、弁護人は「原判決が予見可能性の有無を判断せず、条件的因果関係さえあれば責任を問うという判断をしている」として、判例違反を理由に上告した。しかし、具体的な事案の詳細は本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、原判決が弁護人の主張するような「予見可能性を判断せずに責任を問う」といった判断はしていないと認定した。したがって、弁護人の主張は前提を欠くものであり、適法な上告理由に当たらないと評価される。
結論
本件上告は棄却される。過失犯の成立には予見可能性が必要であるという前提は維持されつつ、原判決にその判断の欠落はないとされた。
実務上の射程
過失犯の論点において、予見可能性が責任成立の不可欠な要素であることを再確認する際、あるいは原判決の解釈に争いがある場合の形式的な処理の先例として参照される。もっとも、本判決自体に具体的な規範の展開はないため、答案上は予見可能性の必要性を述べる際の傍証的な位置づけにとどまる。
事件番号: 昭和27(れ)17 / 裁判年月日: 昭和27年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】過失犯における注意義務の懈怠と結果発生との間に因果関係が認められるためには、証拠を総合してその存在が肯定される必要がある。本件では、被告人両名の注意義務懈怠と被害者の死亡との間の因果関係を認めた原判決の判断が維持された。 第1 事案の概要:被告人両名が業務上の注意義務を怠ったことにより、本件事故が…
事件番号: 昭和37(あ)2816 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
一 業務上過失致死傷罪にいわゆる業務につき、それが社会生活上の地位に基づきなされることを要しないとの原判示は相当でないが、原判決は被告人が自動車の運転を反覆断続して行なつていた事実を認定しているところ、右事実はとりもなおさず社会生活上の地位にほかならないから、結局原判決の右法令解釈の誤りは判決に影響を及ぼさない。 二 …