判旨
業務上の注意義務に違反して事故を起こした被告人に対し、具体的な過失の存在を認めた原審の判断を正当として上告を棄却したものである。
問題の所在(論点)
本件事故の発生につき、被告人に業務上過失致死傷罪における「業務上の過失」が認められるか。
規範
業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)における「業務上の過失」の有無は、当該業務に従事する者に求められる客観的注意義務に違反したか否かによって判断される。
重要事実
被告人が業務中に事故を起こした事案。原審は被告人に業務上の過失があったと認定したが、弁護人は事実誤認および法令違反を理由として上告を申し立てた。なお、事故の具体的な発生状況や被告人が従事していた業務の詳細は、本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、記録を精査した結果、原審が被告人に業務上の過失があったと認めた判断は正当であると解した。具体的にどのような注意義務違反があったかは判決文からは不明であるが、原審の事実認定に刑訴法411条を適用すべき重大な誤り(著しい正義に反する誤り)は認められなかった。
結論
被告人の上告を棄却し、業務上の過失を認めた原判決を維持する。
実務上の射程
本判決は、業務上の過失の有無に関する事実認定について、原審の判断を維持する一事例を示すものである。司法試験の答案作成においては、業務上過失致死傷罪の成否が問題となる場面で、具体的な注意義務の内容とその違反(予見可能性・回避可能性)を論証する際、事実認定の妥当性を支える結論的一事例として参照し得る。
事件番号: 昭和30(あ)638 / 裁判年月日: 昭和32年6月8日 / 結論: 棄却
一 乗合自動車運転者は、停留所発車に際し、単に乗務車掌の発車合図に従い警笛を吹鳴するをもつて足れりとせず、自身また車掌を督励して、車体の前後左右に人影の存否を確め、若し車体附近に人影を発見したときは、これを安全地帯に退避せしめた上発車すべき義務があるものと解するのを相当とする。 二 乗合自動車運転者たる被告人が、停留所…
事件番号: 昭和37(あ)2816 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
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