判旨
過失犯における注意義務の懈怠と結果発生との間に因果関係が認められるためには、証拠を総合してその存在が肯定される必要がある。本件では、被告人両名の注意義務懈怠と被害者の死亡との間の因果関係を認めた原判決の判断が維持された。
問題の所在(論点)
刑法上の過失致死罪等の成否において、被告人の注意義務懈怠と被害者の死亡という結果との間に因果関係が認められるか。
規範
過失犯の成立には、注意義務の懈怠(過失)と発生した結果との間に、法的な因果関係が存在することを要する。この因果関係の有無は、諸般の証拠を総合して、当該懈怠から当該結果が発生したと論理的に肯定できるか否かにより判断される。
重要事実
被告人両名が業務上の注意義務を怠ったことにより、本件事故が発生し、被害者らが死亡するに至った。弁護人は、被告人らの注意義務懈怠と事故(死亡)との間に因果関係がないことを主張して上告した。なお、具体的な事故の態様や懈怠の内容については、本判決文からは不明である。
あてはめ
原判決が挙げた諸証拠を総合すれば、被告人両名の判示注意義務の懈怠と、本件事故による被害者等の死亡との間に因果関係が存することは、これを肯定するに難くない。したがって、因果関係を認めた原審の判断に誤りはない。
結論
被告人らの注意義務懈怠と被害者の死亡との間には因果関係が認められ、過失犯の成立が肯定される。本件上告は棄却される。
実務上の射程
過失犯における因果関係の存在を当然の前提としつつ、証拠に基づく事実認定の問題として処理している。司法試験においては、因果関係の一般的定義(危険の現実化)を前提に、具体的な注意義務違反行為が結果発生に寄与したことを、判決文中の事実を引用して論証する際の基礎となる。
事件番号: 昭和29(あ)3470 / 裁判年月日: 昭和31年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】業務上の注意義務に違反して事故を起こした被告人に対し、具体的な過失の存在を認めた原審の判断を正当として上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が業務中に事故を起こした事案。原審は被告人に業務上の過失があったと認定したが、弁護人は事実誤認および法令違反を理由として上告を申し立てた。なお、…
事件番号: 昭和46(あ)1878 / 裁判年月日: 昭和47年4月21日 / 結論: 棄却
一 第一審判決判示第一の事実につき、被告人の過失と被害者の致死の結果との間に因果関係を認めた原判決の判断は、その認定の事実関係のもとにおいては、正当である。 二 (原判示の要旨)被告人は深夜普通乗用自動車を運転して原判示道路を時速約四〇キロメートルで進行中、対向車の前照灯に眩惑されたにもかかわらず減速、徐行の措置をとら…