判旨
憲法37条1項違反を主張する特別抗告であっても、その実質が単なる事実誤認の主張に帰する場合には、刑訴法433条の適法な抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を主張する特別抗告において、その実質が事実誤認の主張である場合に、刑訴法433条所定の適法な抗告理由として認められるか。
規範
特別抗告(刑訴法433条1項)の適法な理由は、憲法違反または判例違反に限定される。憲法違反を名目として主張する場合であっても、その実質が単なる事実誤認の主張に帰するときは、同条の抗告理由として不適法である。
重要事実
抗告人は、本件について憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、原決定等の事実認定の不当性を争うものであった。
あてはめ
抗告人は憲法37条1項違反を主張するが、その申立書の記載内容を検討すると、実質的には事実誤認をいうものに帰している。刑訴法433条は、事実誤認を適法な抗告理由として認めていないため、形式的に憲法条項を引用していても、実質において憲法違反の具体的な指摘を欠く本件の主張は、同条の予定する抗告理由を構成しない。
結論
本件抗告は刑訴法433条の抗告適法の理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の門前払いの実務(憲法違反の主張が形式的なものにとどまる場合の処理)を示す。答案上は、特別抗告の理由を論じる際に、単なる事実誤認を憲法違反に擬装しても救済されないことを説明する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和49(し)26 / 裁判年月日: 昭和49年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件申立ては、刑事訴訟法433条が規定する特別抗告の要件を満たさないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、申立人が下級審の決定等に対して不服を申し立てた事案である。しかし、提出された判決文からは、具体的な事件名、下級審の判断内容、および申立人が主張した具体的な不服理由…
事件番号: 昭和38(し)33 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
刑訴法第二二条は、憲法第三七条第一項に違反しない。
事件番号: 昭和29(し)22 / 裁判年月日: 昭和29年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織および構成を持つ裁判所を指し、個々の裁判の内容が具体的に公正妥当であることを保障するものではない。 第1 事案の概要:申立人Aは、原決定が抗告理由に対して行った判断が不当であることを理由として、憲法37条1項(公平な裁判所…
事件番号: 昭和31(し)10 / 裁判年月日: 昭和31年6月5日 / 結論: 棄却
地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し地方裁判所に即時抗告の申立があつた場合には、同裁判所は刑訴第四二六条第一項前段により不適法として右抗告を棄却すべきものである。
事件番号: 昭和29(し)64 / 裁判年月日: 昭和29年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、被告人側が申請した証人をすべて喚問することを義務付けるものではなく、証拠調の必要性の判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。当該証拠が唯一の証拠でない場合など、不必要と認められる証人の尋問を却下することは同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審公判において、…