地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し地方裁判所に即時抗告の申立があつた場合には、同裁判所は刑訴第四二六条第一項前段により不適法として右抗告を棄却すべきものである。
地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し高等裁判所に即時抗告の申立があつた場合の措置。
刑訴法24条,刑訴法25条,刑訴法426条1項,刑訴法429条1項1号
判旨
単独の裁判官による忌避申立却下裁判への不服は準抗告(刑訴法429条1項)によるべきであり、これに対し即時抗告や通常抗告をなすことは不適法である。また、抗告審が不適法な抗告を実体判断に基づき棄却しても、結論において正当である限り、特別抗告の理由となる憲法違反等は認められない。
問題の所在(論点)
1. 単独の裁判官による忌避申立却下裁判に対する適切な不服申立手段は何か。2. 不適法な抗告に対し、抗告審が実体判断を経て棄却決定をした場合に、その手続違背を理由とする特別抗告が認められるか。3. 憲法37条にいう「公平な裁判所」の意義。
規範
1. 地方裁判所の一個人の裁判官がなした忌避申立却下の裁判に対する不服申立ては、刑事訴訟法429条1項に基づき、当該裁判官が所属する裁判所への準抗告によってなされるべきであり、即時抗告(25条)によることはできない。2. 憲法37条の「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織・構成を持つ裁判所による裁判を意味する。
重要事実
申立人らは、地方裁判所の一裁判官が行った忌避申立却下決定に対し、東京高等裁判所へ即時抗告を申し立てた。高裁は、本来不適法として棄却すべきところ、記録を精査した上で本案(理由の有無)に立ち入り、抗告を棄却する決定を下した。これに対し、申立人らは、高裁が形式的事務的な処理を行ったことが憲法37条(公平な裁判所の裁判を受ける権利)や82条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和31(し)51 / 裁判年月日: 昭和31年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単独制の地方裁判所裁判官が下した忌避申立却下裁判に対する不服申立ては、刑事訴訟法429条1項に基づき準抗告の方法によるべきであり、また、食糧管理法は国民の生活条件を安定させる趣旨から憲法に違反しない。 第1 事案の概要:申立人は、地方裁判所の一人の裁判官がなした忌避申立却下の裁判に対し、名古屋高等…
あてはめ
1. 本件即時抗告は、準抗告によるべき事案においてなされた不適法な申立てである。2. 抗告審(高裁)は本来、刑事訴訟法426条1項前段により不適法として棄却すべきであったが、不適法な場合も理由がない場合も「棄却」という結論に変わりはないため、結果において正当である。3. 申立人が主張する記録精査の不備については、高裁が記録を取り寄せ精査した形跡が認められ、また「公平な裁判所」の意義に照らしても、原審の組織構成に欠陥があるとは認められないため、違憲の主張は前提を欠く。
結論
本件特別抗告は棄却される。忌避却下への不服申立てが手続的に誤りであっても、棄却という結論が維持される限り、特段の憲法違反は認められない。
実務上の射程
裁判官単独の判断に対する不服申立経路(準抗告)を明確にする際の根拠となる。また、抗告審における「不適法による棄却」と「理由なしによる棄却」の帰趨が、特別抗告申立てにおいてどのように扱われるか(結論の正当性重視)を示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和38(し)33 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
刑訴法第二二条は、憲法第三七条第一項に違反しない。
事件番号: 昭和31(し)34 / 裁判年月日: 昭和31年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が刑事訴訟法312条2項に基づき予備的訴因の追加を命ずることは、審理が相当程度進捗した段階で行われる限り、直ちに不公平な裁判をするおそれがあるとは認められず、裁判官の忌避事由(刑訴法21条1項)を構成しない。 第1 事案の概要:傷害致死等被告事件の第一審において、裁判所(合議体)が主たる訴因…
事件番号: 昭和29(し)64 / 裁判年月日: 昭和29年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、被告人側が申請した証人をすべて喚問することを義務付けるものではなく、証拠調の必要性の判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。当該証拠が唯一の証拠でない場合など、不必要と認められる証人の尋問を却下することは同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審公判において、…
事件番号: 昭和47(し)78 / 裁判年月日: 昭和47年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官が不公平な裁判をするおそれがあるとは認められない場合、刑事訴訟法24条1項に基づく忌避の申立ては却下されるべきである。本決定は、具体的な記録に照らし、憲法37条1項等の違反がないことを確認したものである。 第1 事案の概要:申立人は、背任被告事件の担当裁判長である金子裁判長に対し、不公平な裁…