刑訴法第二二条は、憲法第三七条第一項に違反しない。
刑訴法第二二条は、憲法第三七条第一項に違反するか。
刑訴法22条,憲法37条1項
判旨
刑事訴訟法22条による忌避権行使の時期制限は、忌避権の濫用を防止し、公平かつ迅速な裁判を実現するための合理的な規制であり、憲法37条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法22条が、忌避の原因を知りながら事件につき請求・陳述をした後の忌避申立てを禁止している点は、公平な裁判所の裁判を受ける権利(憲法37条1項)を不当に制限し違憲とならないか。
規範
憲法37条1項は公平な裁判所の裁判を保障すると同時に、迅速な裁判をも要請している。忌避申立権の行使につき、権利濫用による訴訟進行の阻害を防止し、誠実な行使を確保するための合理的規制を設けることは、憲法同条の全体趣旨に合致し許容される。
重要事実
被告人が、不公平な裁判をするおそれがあることを理由として裁判官の忌避を申し立てた。しかし、刑事訴訟法22条は、被告人が事件につき請求または陳述をした後は、忌避の原因を知っていた場合には忌避の申し立てができないと制限している。本件では、この時期制限の規定が、公平な裁判を受ける権利を保障した憲法37条1項に違反するのではないかが争われた。
事件番号: 昭和29(し)64 / 裁判年月日: 昭和29年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、被告人側が申請した証人をすべて喚問することを義務付けるものではなく、証拠調の必要性の判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。当該証拠が唯一の証拠でない場合など、不必要と認められる証人の尋問を却下することは同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審公判において、…
あてはめ
刑訴法22条の制限は、忌避原因を知りながら訴訟手続に関与した者に対し、速やかな申立てを促すものである。これは忌避権を誠実に行使させ、濫用による訴訟遅延を防ぐという合理的な目的を有している。かかる規制は、憲法が要請する「公平な裁判」の確保と「迅速な裁判」の実現の調和を図るものであり、権利の不当な制限にはあたらないといえる。
結論
刑事訴訟法22条は憲法37条1項に違反しない。したがって、時期に遅れた忌避申立てを却下した原決定は妥当である。
実務上の射程
忌避権という手続的権利であっても、迅速な裁判という憲法的要請に基づき、合理的な範囲で時期的な制限(失権)を課すことが可能であることを示している。答案上は、訴訟手続の不当な遅延を招く申立てを制限する際の憲法上の根拠として引用できる。
事件番号: 昭和47(し)78 / 裁判年月日: 昭和47年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官が不公平な裁判をするおそれがあるとは認められない場合、刑事訴訟法24条1項に基づく忌避の申立ては却下されるべきである。本決定は、具体的な記録に照らし、憲法37条1項等の違反がないことを確認したものである。 第1 事案の概要:申立人は、背任被告事件の担当裁判長である金子裁判長に対し、不公平な裁…
事件番号: 昭和49(し)26 / 裁判年月日: 昭和49年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件申立ては、刑事訴訟法433条が規定する特別抗告の要件を満たさないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、申立人が下級審の決定等に対して不服を申し立てた事案である。しかし、提出された判決文からは、具体的な事件名、下級審の判断内容、および申立人が主張した具体的な不服理由…
事件番号: 昭和48(し)114 / 裁判年月日: 昭和49年1月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官において不公平な裁判をするおそれがあるとはいえない場合には、憲法37条1項にいう公平な裁判所の要件に反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、特定の裁判官(高木實裁判官)が審理に関与することについて、不公平な裁判をするおそれがあるとして憲法37条1項違反を主張し、抗告を申し立てた。なお、具体的…
事件番号: 昭和31(し)10 / 裁判年月日: 昭和31年6月5日 / 結論: 棄却
地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し地方裁判所に即時抗告の申立があつた場合には、同裁判所は刑訴第四二六条第一項前段により不適法として右抗告を棄却すべきものである。