判旨
同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法338条3号に基づき、後になされた公訴を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
同一の犯罪事実について、同一の裁判所に重ねて公訴が提起された場合、裁判所はいかなる措置を講じるべきか。刑訴法338条3号の適用の可否が問題となる。
規範
公訴の提起があった事件について、さらに同一裁判所に公訴が提起されたときは、刑事訴訟法338条3号に基づき、判決をもって公訴を棄却しなければならない。
重要事実
被告人は、昭和35年8月4日の無免許運転の事実に関し、同年9月26日に業務上過失傷害および道路交通取締法違反として略式命令を請求され、同月29日に罰金8,000円の略式命令を受け、同年10月21日に確定した。一方で、被告人は同じ事実につき、同年9月28日にも道路交通取締法違反のみで別途略式命令を請求され、同年10月6日に罰金1,000円の略式命令を受け、同年12月18日に確定していた。検事総長は、同一事実について二重に公訴が提起され、二度の略式命令がなされたことは違法であるとして非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、9月28日になされた道路交通取締法違反の公訴事実は、先行する9月26日の公訴提起(業務上過失傷害および同法違反)に含まれる「同一の事実」に基づくものである。したがって、後になされた9月28日の略式命令請求は、既に公訴の提起があった事件について重ねて公訴が提起された場合に該当する。裁判所は、この後の請求に対して刑訴法338条3号により公訴棄却の判決をすべきであったが、これを看過して重ねて略式命令を発したことは、法令の適用を誤った違法があるといえる。
結論
原略式命令を破棄し、刑訴法338条3号により、後になされた本件公訴を棄却する。
実務上の射程
二重起訴の禁止(刑訴法338条3号)が略式手続においても厳格に適用されることを示した。同一事件か否かの判断は、公訴事実の同一性を基準とする。答案上は、併合審理がなされず誤って二重に起訴・裁判された場合の形式裁判による終結の根拠として用いる。
事件番号: 昭和39(さ)5 / 裁判年月日: 昭和39年11月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】既に公訴が提起されている事件について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法338条3号に基づき判決で公訴を棄却すべきであり、これに反して二重に略式命令を発し確定させた後になされた裁判は違法である。 第1 事案の概要:被告人は、昭和37年3月11日の無免許運転の事実につき、同年4月28日に公訴提…
事件番号: 昭和26(さ)2 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: その他
道路交通取締法違反の事実について甲簡易裁判所のした略式命令が確定したところ、右の略式命令発布後その確定前に乙簡易裁判所も亦同一事実につき公訴提起略式命令の請求を受け略式命令を為しこれが確定した場合には、後に起訴を受けた乙簡易裁判所は刑訴三三九条一項四号に則り決定を以つて公訴を棄却すべきであつて、乙裁判所がした右略式命令…