判旨
同一の犯罪事実について既に確定した略式命令がある場合、後に重ねて提起された公訴については、刑事訴訟法337条1号により免訴の判決を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法337条1号にいう「確定判決を経たとき」に略式命令が含まれるか、および同一の犯罪事実について二重に確定判決が存在する場合の法的措置が問題となる。
規範
確定判決(略式命令を含む)がある場合、その判決の既判力(一事不再理の効力)により、同一の犯罪事実について再び公訴を提起することは許されない。既に確定判決を経た事件について重ねて公訴が提起されたときは、刑事訴訟法337条1号に基づき、実体審理に入ることなく免訴の言渡しをしなければならない。
重要事実
被告人は、昭和31年6月11日に無免許で軽自動車を運転したという道路交通取締法違反の罪で略式起訴され、同年8月1日に罰金2千円の略式命令を受け、同月19日に確定した。ところが、当該命令の確定後、全く同一の犯罪事実(日時・場所・行為が同一)について、再び同裁判所に対して略式命令の請求がなされた。裁判所は同年9月20日に再び罰金4千円の略式命令を下し、これも確定するに至った。これに対し、検事総長が非常上告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件における二度目の公訴提起にかかる犯罪事実は、一度目の略式命令(昭和31年8月1日付)において既に判断された事実と完全に同一である。略式命令は確定により判決と同一の効力を生じるため、一度目の略式命令が確定した時点で当該事実に対する公訴権は消滅している。したがって、後になされた略式命令は、既に確定判決が存在する事案について重ねて有罪を言い渡したものであり、刑事訴訟法337条1号に違反する明白な違法がある。
結論
後の略式命令を破棄し、刑事訴訟法337条1号により被告人を免訴とする。
実務上の射程
一事不再理の効力が略式命令にも及ぶことを確認した事例であり、答案上は刑事訴訟法337条1号(免訴判決)の適用場面として引用する。同一事実について二重起訴や二重処罰がなされた場合の是正手続(非常上告)の先例としても重要である。
事件番号: 昭和39(さ)6 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】確定判決がある事件と同一の犯罪事実について重ねて略式命令が発せられた場合、一事不再理の原則に基づき、刑事訴訟法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、道路交通法違反の罪により、昭和39年2月1日付の略式命令を受け、同年2月21日にこれが確定した。しかし、同一の犯罪…