判旨
確定判決がある事件と同一の犯罪事実について重ねて略式命令が発せられた場合、一事不再理の原則に基づき、刑事訴訟法337条1号により免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令に係る犯罪事実と全く同一の事実について、重ねて略式命令を発することの可否、およびその場合の措置が問題となる。
規範
確定判決を経た事件と同一の犯罪事実について再度公訴が提起された場合、実体裁判をすることなく、刑事訴訟法337条1号(確定判決を経たとき)に基づき免訴の判決を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は、道路交通法違反の罪により、昭和39年2月1日付の略式命令を受け、同年2月21日にこれが確定した。しかし、同一の犯罪事実(日時、場所、内容が全く同一の道路掘削工事)について、同年3月4日に再び別の略式命令が発せられ、これも確定した。本事案は、この後者の略式命令の適法性が争われた非常上告事件である。
あてはめ
本件における二つの略式命令は、いずれも昭和38年12月20日の道路法違反事案を対象としており、その日時は午後3時ごろ、場所は福井市内の路上、内容は使用人らによる掘削作業と、事実関係が完全に一致している。先行する略式命令は法定期間内に正式裁判の請求がなされず確定しているため、一事不再理の効力が生じている。したがって、後の略式命令請求事件については、裁判所は刑事訴訟法463条1項により通常手続に移した上で、同法337条1号を適用し免訴を言い渡すべきであったといえる。
結論
原略式命令は法令に違反し、被告人の不利益となることが明白であるため、これを破棄し、被告人を免訴とする。
実務上の射程
同一事実について二重に処罰することを禁じる「一事不再理の原則」の基本例である。答案上は、略式命令であっても確定すれば確定判決と同一の効力(刑訴法470条)を有することを前提に、二重起訴や既判力の射程が問題となる場面で、刑訴法337条1号の適用根拠として活用できる。
事件番号: 昭和38(さ)13 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定判決を経た事件について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該公訴は確定判決があるときに該当し、免訴の判決を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和36年10月12日の道路交通法違反(免許証不携帯運転)の事実に関し、同年11月15日に公訴提起され、同…