判旨
既に確定した略式命令に係る犯罪事実と、日時、場所、内容が全く同一である事実について再度公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑事訴訟法337条1号により免訴とすべきである。
問題の所在(論点)
先行する略式命令が確定した後に、それと実体的に同一の事実についてなされた後の略式命令の適法性、および刑事訴訟法337条1号(免訴事由)の成否が問題となる。
規範
刑事訴訟法337条1号の「確定判決を経たとき」とは、公訴事実が既に確定した裁判の既判力(一事不再理効)の範囲内に含まれる場合を指す。同一の日時・場所において行われた同一内容の犯罪事実は、実体的に同一の事実であり、二重処罰の禁止により、後の公訴提起に対しては免訴の判決を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は、昭和39年4月29日18時40分頃に兵庫県内の指定場所で一時停止しなかった道路交通法違反の事実について、同年8月に罰金2,000円の略式命令が確定した。しかし、その後、同一の日時、同一の車両、同一の内容(表示こそ異なるが同一の場所)の事実について再び公訴が提起され、同年12月に別の略式命令が発せられ確定した。このため、検事総長が法令違反を理由に非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件における二つの犯罪事実は、犯行の日時および内容が全く同一である。場所の表示には差異があるものの、記録によれば全く同一の地点を指していることが認められる。したがって、被告人は同一の事実について二重に公訴提起を受け、処罰されたものといえる。このような場合、裁判所は後の公訴提起に対して、既に確定裁判を経たものとして刑事訴訟法337条1号を適用し、免訴の判決をなすべきであったと解される。
結論
本件略式命令は、既に確定裁判のあった事実と同一の事実について被告人を罰したものであり、法令に違反し被告人に不利益である。したがって、原略式命令を破棄し、被告人を免訴とする。
実務上の射程
略式命令であっても確定すれば通常の確定判決と同様の一事不再理効が生じることを確認する事案。公訴事実の同一性判断において、日時・場所・態様が重なる場合には免訴事由に該当することを端的に示す。実務上は、二重起訴や確定判決後の再起訴の場面で、免訴判決を導く際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和39(さ)6 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】確定判決がある事件と同一の犯罪事実について重ねて略式命令が発せられた場合、一事不再理の原則に基づき、刑事訴訟法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、道路交通法違反の罪により、昭和39年2月1日付の略式命令を受け、同年2月21日にこれが確定した。しかし、同一の犯罪…