判旨
同一犯罪事実について二重に公訴が提起された場合、後になされた公訴提起は刑事訴訟法338条3号により判決で棄却すべきであり、これに反してなされた略式命令は違法として破棄される。
問題の所在(論点)
同一の被告人による同一の犯罪事実について、先行する公訴が係属中(略式命令の確定前)に、重ねて公訴を提起すること(二重起訴)の可否およびその法的効力。
規範
同一の犯罪事実について既に公訴が提起されている場合、後順位の公訴提起については、刑事訴訟法338条3号に基づき、判決をもって公訴を棄却しなければならない。
重要事実
被告人は、昭和39年6月14日の無免許運転の事実に関し、同年10月21日に公訴提起(略式命令請求)を受け、11月5日に罰金4000円の略式命令がなされた。しかし、当該略式命令が確定する前の同年12月22日、全く同一の事実について再度公訴提起がなされ、12月24日に同様の略式命令が発せられた。その後、前後の略式命令が相次いで確定したため、二重起訴の適法性が問題となった。
あてはめ
本件において、後になされた公訴提起の時点(12月22日)では、既に同一事実について先行する公訴が提起されており、裁判所に係属していた。したがって、裁判所は刑事訴訟法338条3号に従い、後順位の公訴に対しては公訴棄却の判決をすべきであった。それにもかかわらず、重ねて略式命令を発してこれを確定させたことは同条に違反する違法な手続である。また、同一事実について二重の処罰を受ける状態となることは被告人にとって明らかに不利益であると認められる。
結論
後になされた略式命令は違法であるため、非常上告に基づきこれを破棄する。また、刑事訴訟法338条3号を適用し、当該後順位の公訴を棄却する。
実務上の射程
二重起訴の禁止(刑訴法338条3号)が略式手続においても厳格に適用されることを示した事例である。実務上、既判力が生じる前であっても、公訴係属中であれば同条が適用される。答案上は、一事不再理効(337条1号)との区別(確定判決の有無)に留意して使い分ける必要がある。
事件番号: 昭和39(さ)5 / 裁判年月日: 昭和39年11月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】既に公訴が提起されている事件について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法338条3号に基づき判決で公訴を棄却すべきであり、これに反して二重に略式命令を発し確定させた後になされた裁判は違法である。 第1 事案の概要:被告人は、昭和37年3月11日の無免許運転の事実につき、同年4月28日に公訴提…