判旨
同一の犯罪事実について複数の公訴が提起され、一方が先に確定した場合には、他方の裁判は確定判決を経た事件に対するものとなり、刑事訴訟法337条1号により免訴すべきである。
問題の所在(論点)
同一の犯罪事実について略式命令と即決裁判の二重の公訴提起がなされ、一方が先行して確定した場合に、後から確定した裁判(本件略式命令)をいかに取り扱うべきか。
規範
同一の犯罪事実について重複して公訴が提起された場合、先行して確定した裁判が存在するときは、後続の裁判は「確定判決を経たとき」に該当するため、刑事訴訟法337条1号に基づき免訴の判決を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は昭和36年7月20日の無免許運転の事実に関し、同年9月25日に略式命令を請求され、同年10月19日に罰金3,000円の略式命令を受け、同年11月5日に確定した。一方で、被告人は全く同一の事実について同年10月18日に即決裁判を請求され、同日に罰金3,000円の宣告を受け、同年11月2日に先に確定していた。このように、同一事実について二重の公訴提起と裁判が行われた。
あてはめ
本件における略式命令と即決裁判は、いずれも「昭和36年7月20日午後2時45分ころ、夕張市内の道路において原動機付自転車を運転した」という同一の犯罪事実を対象としている。即決裁判は11月2日に確定しており、略式命令が確定した11月5日時点では、既に同一事件について確定裁判が存在していた。したがって、本件略式命令は確定判決を経た事件についてなされた不当な裁判であるといえる。
結論
本件略式命令は違法である。非常上告に基づき、刑事訴訟法458条1号により原略式命令を破棄し、同法337条1号により被告人を免訴とする。
実務上の射程
二重起訴後の確定判決による既判力の発生と免訴事由の適用を認める典型例である。実務上は、非常上告の手続きにおいて確定判決の抵触を解消するための論理として活用される。答案上は、一事不再理効(337条1号)の具体的適用場面として、先行する確定判決の存在が後続の手続きを遮断することを端的に指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和38(さ)10 / 裁判年月日: 昭和39年2月4日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】同一の犯罪事実について既に確定した略式命令がある場合、後に重ねて提起された公訴については、刑事訴訟法337条1号により免訴の判決を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和31年6月11日に無免許で軽自動車を運転したという道路交通取締法違反の罪で略式起訴され、同年8月1日に罰金2千円の…