判旨
同一の犯罪事実について二重に略式命令が発せられた場合、後に発せられた略式命令が先に確定したときは、先に発せられた略式命令は確定裁判を経たものとして免訴されるべきである。
問題の所在(論点)
同一の公訴事実について二つの略式命令が発せられ、後に発せられた裁判が先に確定した場合、先に発せられていた裁判(本件略式命令)は、刑事訴訟法337条1号にいう「確定判決を経たとき」に該当し、免訴されるべきか。
規範
同一の公訴事実について既に確定判決を経たときは、刑事訴訟法337条1号により免訴の言渡しをしなければならない。この「確定判決」には、略式手続による略式命令の確定も含まれる。複数の裁判が並行する場合であっても、その確定の前後によって既判力の発生時期を判断し、二重処罰の禁止を貫徹すべきである。
重要事実
被告人は昭和36年3月3日の無免許運転の事実につき、同年9月30日に略式命令を請求され、同年10月30日に罰金4000円の略式命令(本件略式命令)を受けた。しかし、本件略式命令の確定前である同年11月10日、全く同一の事実について再度略式命令が請求され、同年11月30日に罰金3000円の別の略式命令がなされた。この後になされた略式命令が同年12月22日に先に確定し、本件略式命令は翌37年1月24日に確定した。
あてはめ
本件略式命令は昭和37年1月24日に確定しているが、その確定時点において、既に同一事実に基づく別の略式命令が昭和36年12月22日に確定している。したがって、本件略式命令は「既に確定裁判を経た事実」に対してなされた裁判であるといえる。このように二重に処罰可能な状態を維持することは、一事不再理の原則に反し、被告人にとって明らかに不利益な違法状態にあると解される。
結論
本件略式命令は確定判決を経たときに当たるため、刑事訴訟法458条1号により破棄し、同法337条1号に基づき被告人を免訴する。
実務上の射程
一事不再理の原則および既判力の客観的範囲に関する基本判例である。裁判の前後ではなく「確定の前後」を基準とする点、および非常上告の手続により二重処罰の違法を是正する実務上の運用を示すものとして重要である。
事件番号: 昭和38(さ)13 / 裁判年月日: 昭和39年2月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定判決を経た事件について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該公訴は確定判決があるときに該当し、免訴の判決を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和36年10月12日の道路交通法違反(免許証不携帯運転)の事実に関し、同年11月15日に公訴提起され、同…
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…