判例違反を主張する所論引用の大正一二年(れ)第一八〇五号同一三年三月五日大審院決定は、当裁判所の判例により変更されたものである(昭和二六年(れ)第七七号同年六月一日第二小法廷判決、刑集五巻七号一二二二頁・昭和二七年(あ)第六五九六号同三〇年一〇月一四日第二小法廷判決、刑集九巻一一号二一七三頁・昭和三一年(あ)第四六九号同三三年五月六日第三小法廷判決、刑集一二巻七号一三三六頁参照)。
権利行使と恐喝罪成否に関する大審判例の変更の有無。
刑訴法405条,刑法249条
判旨
先行判例において変更された大審院時代の判断を根拠とする判例違反の主張は認められず、実質的な上告理由(刑訴法405条)を欠く場合は棄却される。
問題の所在(論点)
既に最高裁判所の判例により変更された大審院時代の判断枠組みを援用し、それに反することを理由として刑訴法405条の判例違反を主張できるか。
規範
最高裁判所により既に変更された大審院時代の決定を引用して判例違反を主張することは、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
重要事実
上告人は、大正12年の大審院決定に反するとして原判決の判例違反を主張した。しかし、当該大審院決定は昭和26年以降の最高裁判所判決によって既に変更されていた。また、上告人は事実誤認、単なる法令違反、量刑不当、および訴訟法違反(判断遺脱等)をあわせて主張した。
あてはめ
上告人が引用した大審院決定は、当裁判所の昭和26年、30年、33年の各判決により既に変更されている。したがって、当該旧決定との抵触をいう点は理由がない。また、変更後の最高裁判例と原判決を対照しても、原判決がこれと相反する判断を示した事実は認められない。その他の主張は事実誤認や量刑不当といった単なる不服申し立てであり、適法な上告理由を構成しない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、同法408条により棄却される。
実務上の射程
判例違反を理由に上告する際は、その判例が現在も有効な最高裁判所の見解であるかを確認する必要がある。大審院判例であっても、既に最高裁によって変更されている場合には、それを基準とした違憲・判例違反の主張は排斥される。
事件番号: 昭和51(あ)1626 / 裁判年月日: 昭和52年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧判例が既に変更されている場合や、引用判決が事案を異にし適切でない場合、刑訴法405条の上告理由(判例違反)には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が大正2年の大審院判決2件および昭和26年の最高裁判決に違反すると主張した。しかし、当該大正2年の判決については、昭和30年および昭和33…
事件番号: 昭和26(れ)657 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる事実誤認の主張にすぎず、刑訴法405条の適法な上告理由に該当しない場合には、職権調査によっても判決を破棄すべき事由(同法411条)が認められない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。上告趣意書において主張された内容は、原審の認定した…