司法警察員又は検察官作成の被害者の供述調書、被害者の被害届、被害者に対する医師の診断書、司法警察員作成の被告人の供述調書、被告人の前科調書等は、単にこれらの書面の意義が証拠となるだけで、その存在や状態が証拠となるものでない場合、「証拠書類」であつて、「書面の意義が証拠となる証拠物」ではない。
証拠書類にあたる書面
刑訴法305条,刑訴法306条,刑訴法307条
判旨
最高裁判所の判例がある事項について、下級審の判例との相反を理由に刑訴法405条2号の上告をすることはできず、原判決が最高裁判例と一致している限り上告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
刑訴法405条2号に基づき、高等裁判所の判例との相反を理由に上告を申し立てる際、既に当該事項について最高裁判所の判例が存在する場合、上告理由として適法か。
規範
刑訴法405条2号が定める「東京高等裁判所の判例との違反」を理由とする上告については、既に当該論点に関する最高裁判所の判例が存在する場合には、その最高裁判所の判例が基準となる。したがって、原判決の判断が既存の最高裁判所の判例と一致している場合には、同条の上告理由を構成しない。
重要事実
本件の上告人は、原判決に東京高等裁判所の判例との相反がある旨を主張して上告を申し立てた。しかし、当該上告理由が主張する点については、既に最高裁判所の判例(最判昭26・5・25、最判昭26・6・1等)が存在していた。
あてはめ
本件において上告人が主張する東京高等裁判所の判例との違反という点は、既に最高裁判所により判断が示されている事項であった。記録に照らせば、原判決の判断はこれら既存の最高裁判所の判例と一致するものであり、下級審判例との相反を云々する余地はない。また、憲法違反の主張も実質は単なる訴訟法違反にすぎず、刑訴法411条を適用すべき事由も認められない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
実務上、刑訴法405条の上告理由を検討する際、最高裁判例が存在する論点については2号(下級審判例相反)ではなく、3号(最高裁判例相反)の有無を検討すべきことを示唆する。最高裁判例が存在する以上、それと異なる下級審判例を基準とした上告は排斥される。
事件番号: 昭和26(れ)657 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる事実誤認の主張にすぎず、刑訴法405条の適法な上告理由に該当しない場合には、職権調査によっても判決を破棄すべき事由(同法411条)が認められない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。上告趣意書において主張された内容は、原審の認定した…
事件番号: 昭和27(あ)5210 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張・判断されていない第一審の訴訟手続違背を上告理由とすることはできず、また、事実誤認を前提とした憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し控訴したが、控訴審判決後、上告審において新たに第一審の訴訟手続に違反がある旨を主…