売春防止法第一四条により法人を処罰するには、その代表者又は従業者がその法人の業務に関し、同条所定の違反行為をしたことが証明されれば足り、行為者が処罰されることを要件とするものではない(昭和二九年(あ)第二〇一〇号同三一年一二月二二日第二小法廷決定、刑集一〇巻一二号一六八三頁参照)。
売春防止法第一四条により法人を処罰するには行為者が処罰されることを要件とするか。
売春防止法14条
判旨
売春防止法14条に基づく法人の処罰は、代表者等の行為者が当該法人の業務に関し同条所定の違反行為をしたことが証明されれば足り、行為者本人が処罰されることを要件としない。
問題の所在(論点)
両罰規定により法人を処罰するに際し、現実に違反行為を行った代表者や従業者が処罰されることが必要か(法人の処罰と行為者の処罰の独立性)。
規範
両罰規定(売春防止法14条)により法人を処罰する場合、その代表者又は従業者が「その法人の業務に関し」同条所定の違反行為をしたことが証明されれば足りる。当該規定の適用において、現実に違反行為に及んだ自然人(行為者)が有罪判決を受け、処罰されることは要件ではない。
重要事実
被告人である法人の代表者又は従業者が、法人の業務に関連して売春防止法所定の違反行為を行った。弁護人は、法人を処罰するためには行為者が処罰されることが必要である旨を主張して上告したが、具体的な違反行為の態様や行為者の状況の詳細は本決定文からは不明である。
あてはめ
売春防止法14条は、業務主体としての法人の責任を問うものであり、構成要件に該当する「違反行為」が代表者等の活動として存在すれば足りる。したがって、行為者本人の処罰の有無にかかわらず、法人の業務に関連して違反事実が客観的に証明されている本件においては、同条に基づく法人の処罰は適法であると解される。
結論
法人を処罰するには、代表者等の違反行為の証明があれば足り、行為者が処罰されることを要件としない。
実務上の射程
法人の刑事責任(両罰規定)を論ずる際、行為者の処罰可能性(責任阻却事由の有無や公訴棄却等)と法人の処罰可能性を峻別する論拠として用いる。実務上は、行為者が死亡・逃亡している場合や、心神喪失により処罰できない場合でも、法人への処罰が可能であることを示す重要な指針となる。
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