控訴審が事実の取調をして、破棄自判するような場合には、検察官の請求により、公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因の変更を許すべきものであることは、当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第五一五号同年九月三〇日第一小法廷決定、刑集八巻一五六五頁)とするところである。
控訴審において訴因の変更が許されるか。
刑訴法404条,刑訴法312条,刑訴法400条,刑訴法393条
判旨
控訴審において事実の取調べを行い破棄自判をする場合には、検察官の請求により、公訴事実の同一性を害しない限度で訴因の変更を許すべきである。
問題の所在(論点)
控訴審において事実の取調べを経て破棄自判をする場合、検察官による訴因変更の請求を許可することができるか。刑事訴訟法312条1項の適用範囲が問題となる。
規範
控訴審において、裁判所が事実の取調べを行い、自ら判決(破棄自判)をする場合には、検察官の請求に基づき、公訴事実の同一性を害しない限度において、刑事訴訟法312条1項の規定を準用または類推適用し、訴因の変更を許容すべきである。
重要事実
本件の具体的な事案事実は判決文からは不明であるが、被告人両名が控訴審での手続を経て上告し、その中で控訴審における訴因変更の可否等が争点となったものと推認される。
あてはめ
控訴審は事後審としての性格を有するが、事実の取調べを行う場合には第一審と同様の事実認定手続が介在する。本件のように控訴審が破棄自判を行う局面においては、事後審の枠組みを超えて実体的な審理が行われるため、公訴事実の同一性が認められる範囲内であれば、訴因変更を認めて適切な刑罰権の行使を図るべきであると解される。
結論
控訴審であっても、事実取調べの上で破棄自判をする場合には、公訴事実の同一性を害しない限度で訴因変更が許される。
実務上の射程
本判決は控訴審における訴因変更の限界を画した重要な先例である。答案上は、控訴審の事後審的性格を前提としつつ、破棄自判の場合には第一審の規定が及ぶ根拠として本法理を引用し、公訴事実の同一性(312条1項)の有無を検討する流れとなる。
事件番号: 昭和42(あ)2187 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴裁判所が第一審判決を破棄し、自ら判決(自判)をする際、第一審判決の認定事実に誤りがない場合には、その確定事実に基づき法令を適用して判決を下すことが可能である。 第1 事案の概要:本件において弁護人は、控訴裁判所が第一審判決を破棄し自判する際の事実認定の手続等について法令違反を主張したが、具体的…